見えない貧困にどう向き合うか〜現場からの提言〜

 貧困問題をテーマに、沖縄大学名誉教授の野本三吉さんの講演がありました。また、女性相談員の牧野美登里さん、「フードバンクかわさき」の高橋実生さんもパネラーとして参加されたシンポジウムは、見えづらい貧困の現状やその構造的な問題について考える貴重な機会となりました。
 冒頭、野本さんは、川崎の中1男子殺害事件に触れられ、また、寿町や児童相談所で相談・支援に関わられた経験、さらには沖縄での暮らしから、認め合う関係を紡ぐ場をどうつくっていくのかが重要であると話されました。
 牧野さんは、頑張って頑張って何とか今月の家賃を払おうと借金を重ね仕事を失ってしまった人、一時保護所を出ても支えるが人がいなくて戻ってくる人、家庭内暴力の連鎖など、相談に関わった事例から、人間関係を築けない人や不安定な働き方が広がっており、生活保護制度が母子を支えるのに十分とは言い切れないという心苦しさも吐露されました。
 高橋さんは、ご自身の経験から、DVシェルータを出たら忽ち生活が成り立たない、冠婚葬祭に出席できない・つき合えない、珈琲に誘われても行けない、福祉制度は申請主義で知らなければ活用もできないというような、貧しさがさらなる困難につながり固定化してしまう状況や人間関係や情報の貧困の中でsosを出さない人も多いと指摘されました。
 いずれも、見えづらい貧困問題を誰にでも起こり得る問題として捉え、社会保障制度の課題も明らかにしていく必要性を突きつけられたお話でした。
 野本さんは、シンポジウムのまとめの中で、雇用という働き方、つまり雇われて働く、忠実に従うという労働形態が、どこかで戦争や基地の問題につながっていると話されていました。自分たちで仕事をつくり一緒に働き暮らすという運動こそがイデオロギーを変えるのだというメッセージだと受け止めます。「この人と共に暮すこの町をどうつくるか」というかとこから出発するしかないのだと思います。地域で実践を重ねて行こう。

10月2日、WE21ジャパンさかえ、WE21ジャパン港南、WE21ジャパンいずみ、WE21ジャパンなか共催のシンポジウムが開催されました。