ソウルスタディツアー報告2「官民連携でコミュニティづくりが進むドボン区」
ソウルスタディツアー二日目。幸福中心生協やドボン区役所の方々のコーディネートで循環型まちづくりの現場を訪ねました。
まず、幸福中心生活協同組合が運営するマウルカフェ「幸福な物語」へ。韓国では、協働組合基本法制定以降、さまざまな協同組合が生まれています。幸福中心生協は、旧女性民有会生協から生み出され、食の安全はもとより、組合員が生活者として地域で自分たちの問題を解決するためのコミュニティづくりに取組まれています。周辺は、かつてはスラムのような場所だったそうですが、ソウル市ドボン区が出資し駅舎内にカフェを整備、幸福中心生協が委託を受け運営しています。年間に500万〜1000万ウォンの収益があり、その収益を地域社会のために循環させることを模索されています。ソウル市および区役所の民間ガバナンス担当職員も活動現場にコミットし、官民連携でコミュニティづくりが進んでいました。
続いて、福祉のまちづくりの拠点「バンアゴル福祉館」のセイムカフェ(障がい者の働くカフェ)や、中古家具をリメイクする「ガムジョワン工房」、古い家屋を再生したコミュニティスペース「スプソクエ(森の中)」と、駆け足に市民活動の拠点を訪問させていただきました。どの場所も芸術的な発想があふれていて、居心地のよい空間です。助成金のみならず地域住民自らも出資し寄付を募り資金を調達するなど、当事者性の強い運動が展開されていました。
ドボン区のコミュニティ拠点作りの発祥の地として紹介された「ナムヤ・ナムヤ」は、音楽会、映画上映、セミナーなども開催されるコミュケーションの場であり文化交流の場ともなっているそうです。私たちもこの場所で、ドボン区のスタディツアーを振り返り現場のリーダーたちと意見交換の時間を持ちました。
少子高齢社会と孤立化といった課題や、若者や障がい児・者との共生をめざすビジョンを共有しました。
また、生活に根ざした政治の重要性についても共感を深める機会となりました。何よりも、ソウル市の市民活動助成事業がマウル事業の発掘と育成に生かされていることを実感させられました。(続く)