介護制度が改正され、在宅介護支援センターに変わり、地域包括支援センターがスタートします。でも、「地域」も「包括」するということも、その具体が掴めないという現場の声が溢れています。そもそも、在宅介護支援センターは機能していたのでしょうか?
NETの地域福祉プロジェクトでは、「地域福祉はコミュニティケアの概念抜きでは考えられない」というNPO法人あらた(山形県酒田市)へ、在宅介護支援センターの機能を創り出してきたその実践を学びにやってきました。NPO法人あらたは、20年の地域福祉の活動の歴史がありますが、そのスタートは「ボランティアグループ」であり、インフォーマルサービスが原点です。
現在、酒田市内に3つの拠点を持ち、制度を使った障がい者や高齢者のグループホームやデイサービスなどを運営されています。各施設は、福祉施設の常識「バリアフリー」ではありません。高齢者グループホーム「たくせい」は旅館を改装した施設ですが、段差も階段もそのまま残されていました。必要であれば、体を動かすという姿勢は新鮮でした。
所属のケマネジャーさんも、「フォーマルサービスは誰でも知っている インフォーマルサービスをどれだけ知っているか、コーディネートできるか、これが財産」とおっしゃっています。まさに、地域で、在託介護支援センターの役割りを担っていらっしゃったのがあらたです。
介護保険事業だけでは、地域福祉は担えなません。介護保険事業を行う、地域包括支援センターになかなか期待を持てない理由もそこにあります。
代表理事の齋藤さんは、改正介護保険制度について、「分断された縦割り行政によって、役所でも地域福祉と介護保険は別事業、包括は困難。改正介護保険は医療の救済策」という評価をされました。
生活の質を高めることや、「地域」にこだわり福祉のまちづくりを進めるために、「制度は使いこなすもの」と捉え、個々を支援していく視点や、自分たちの将来のためのまちづくりという視点を持って、チャレンジ性のある実践を積み重ねていくことが大切であることを確認できました。