気付いた人が社会を変える コスタリカ再発見

9日、すすき野第三団地にお住まいの方たちが中心となって作られた「憲九会」主催の講演会にお誘いいただき、ジャーナリスト伊藤千尋さんのお話を伺いました。軍事から教育へシフトし平和と民主主義をつくる努力を続けて来たコスタリカの「平和」を学びました。

5年前、ブッシュが掲げたテロとの戦いに賛同した大統領を憲法違反と訴えた大学生ロベルト・サモラさんが勝訴し、大統領が賛同を撤回したというニュースが世界を駆け巡ったこともありましたが、コスタリカの訴訟手続きは至って簡素。小学生でも「もしもし憲法違反です」という憲法裁判所への電話から訴訟が始められるそうで、違憲訴訟は年間1万2千件にのぼります。
最年少は8歳の小学生。彼は、サッカーに興じていて川に落ちてしまったのですが「校庭と川の間に柵がなかったことが転落の原因で、これは行政の落ち度じゃないか」と裁判所に電話をかけ訴訟を提起しました。何よりも憲法が身近にあり、「誰でも愛される権利がある」という教育を受け、法律は使うものだと小学生でも認識しているとのことです。政治教育も重視し子どもの模擬投票も行われています。軍事費をそっくり教育費にあて社会の発展の基として教育を大切にしてきたこの国の歴史を感じます。

伊藤さんが、コスタリカを訪ねた時のこと、あいにく雨模様でしたが、そのとき傘を差し出しホテルのフロントに誘ってくれた男性がいたそうです。後に、この男性は、元コスタリカ大統領のカラソ氏だと知ったというエピソードもうかがいました。コスタリカは環境先進国でもありエコツーリズムのメッカ。カラソ氏もエコロッジの経営者だったそうですが、なぜ、大統領まで務めた方が…という伊藤さんの問いに「後継者を育てるために変わり合わなければならない。今後は民間事業によって社会貢献したい」と応えられたそう。

知恵を出し合い協同出資しジャングルを開拓してきたこの国の人たちの歴史に平和の源泉があるよう思います。気付いた人が社会を変えていこうという市民社会の発想、文化のある国なのですね。伊藤さんのお話は「変えたい人がまずやること」というメッセージが溢れていました。