もっと知りたい介護保険財政〜ユニットカフェ開催報告〜

13日、『私たちが毎月支払っている介護保険料は適正に使われているの?』というテーマで、生活クラブ運動グループの「西部ユニット(横浜)」のユニットカフェが開催されました。
実は、昨年10月にも、改定を重ねる介護保険制度について話す機会がありました。

そこで、「介護保険財政が厳しいのはわかるけど、どの程度の赤字なの?」と尋ねられ、
「赤字ではないです。横浜市でも制度が始まって以来一度も赤字決算はないです。」
「知らなかった。じゃあ余ったお金はどうするの?」
「基金に積み立てます。で、本当に財政が厳しい時に、取り崩して活用したり、3年を期間とする介護保険事業計画を更新する際に、基金を取り崩して次の3年間の保険料の上昇を抑えるために活用したりすることもあります。」と言ったやり取りをしました。そんな経過があって、あらためて介護保険会計がどうなっているのか、読み取ってみようということになり、再びユニットカフェに呼んでもらいました。
参加者皆んなで、2015年、2016年度の介護保険事業費会計(特別会計)の決算状況をピックアップしたり、 第6期横浜市高齢事業計画(2015~2017年)の給付計画値と比較してみました。2016年度の給付費実績は2211億円ですが、2014年度に策定した計画では2607億円とされており計画比85%の実績でした。そのような状況で、毎年介護保険給付費準備基金積立金への繰り出しが行われています。

2017年度は、第6期計画の最終年度になりますが、介護保険給付費準備基金の残高がある場合、これを取り崩し次期保険料を軽減するという方策も考えられます。しかし、介護保険制度の課題はたくさんあります。抑制に抑制が重ねられている生活援助サービスや、介護報酬の低さ、人材不足などなど。積み立てられた財源を保険料の軽減だけでなく、こうした制度の「穴」を埋めることに活かせないのでしょうか。
あらためて、第6期計画と第7期計画(2018~2020年度)を比べてみると、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる2025年の給付費で約800億円、保険料についても 800 円下方修正されています。

第6期 横浜市高齢高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画より


第7期 横浜市高齢高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画素案より


介護保険料の引き上げの是非を問えば、多くの人が「反対」を表示するでしょう。公的負担を抑制するためにも、まずは給付を抑えるということになるのでしょう。しかし、財政の均衡は図れても必要なサービスが提供されない状況では、もはや「持続可能な制度」とは言えません。

保険料については、参加者の多くが次期計画素案の パブリックコメントで「提供されるサービスに対して 適切な金額となっているかどうか検討できるよう、財 政状況を示し、給付と負担の関係で計画を読み解くこ とができるよう改善されるべき」といった意見を提出 しています。次は、「あのパブコメに出した意見どうなりましたか?」という横浜市との意見交換もしてみたいとの意見も聞かれました。今回の学びを次のアク ションにつなげていきたいと思います。