若年者の職業的自立の支援 〜常任委員会報告〜

地方分権一括法の施行に伴って、「職業能力開発促進法」および「職業能力開発促進法施行規則」が改正されたことを受け、11月議会で、県立の職業能力開発施設において行う職業訓練の基準等を県の条例で定めることになります。すでに、条例で定める基準等の考え方が示され、パブリックコメントも実施されました。県としては、県施設や県が民間教育訓練期機関などに委託して実施する訓練の要件や基準などについて、「国の要件で支障はない」としていますが、パブリックコメントには、国の基準を満たすだけでは不十分と言った意見も出されています。そこで、職業訓練における、神奈川の独自の課題や、独自に打ち出している取組みについて確認しました。

2011年度の職業訓練をめぐる状況としては、県立施設内の訓練の受講者が1,086人、就職率86.9%、民間の教育機関に委託した訓練の受講者は2,544人、就職率は61.9%となっています。民間の教育機関の委託訓練の就職率については、全国平均(62,4%)を若干下回っていますが、経年変化を見ると上昇傾向にあります。ただ、コースやカリキュラムによっては、就職率が20%台に留まっていたり、必ずしも専門性を生かした就職につながらないという課題も聞かれます。雇用支援をめぐる問題で言われている、求人と求職のミスマッチ、特に職業経験のない若年者に対するフォローが必要とされています。

 これまでの手法だけではフォローできず、なかなか就労に結びつかない困難事例も健在化しているなか、若年者の職業的自立の支援プログラムとして実施された、*企業コラボ型訓練や委託訓練活用型デュアルシステム訓練は、70%台〜100%と平均を上回る高い就職率となっていました。来年4月には、現在、県西部にある4つの職業技術校を再編・統合した「西部総合職業技術校」が開校しますが、県西部のサポステとも連携し若年者に対する効果的な訓練に積極的に取組んでほしいと思います。

 訓練の質を高め就業成果に結びつけることと合わせて、訓練機関とハローワークとの機能的な連携、キャリア・コンサルティングの充実なども求められます。現在、県内の民間訓練機関約50カ所に対して5人の指導員が巡回指導を行っているそうですが、現場の課題を抽出、共有、分析し対策を進めることや、事業評価のしくみをつくり、事業の効果を高めていくことも必要です。

また、幾つものパートを掛け持っているような方や、長期に渡って失業の状態にある人が増加をしている状況にあって、雇用保険制度の対象とならない方も、生活保障を得ながらスキルアップしていけるしくみとして求職者支援訓練も有効な施策です。事業を所管する神奈川労働局は、訓練規模の目標を14,000 人としています。こういった制度もしっかり活用されるよう、まず、制度を知っていただく取組みが求められます。

 *企業コラボ型訓練(デュアルシステム訓練):施設内訓練と企業で実際に働いてみる企業実習とパート雇用を組み合わせた訓練を実施する