「新たな」議員年金制度検討の動き

議長会の要請活動?

6月5日の社会保障・税特別委員会での安住財務相の「議員年金を廃止したのは冷静さを欠いていた」という発言で、再び注目された議員年金制度。この発言の前、5月11日、総務省は、地方議会議員の新たな年金のあり方に関する検討報告を取りまとめ、全国町村議会議長会など地方議会3団体に対し説明を行ってます。この動きは、地方議員年金制度が昨年6月に廃止された際に、廃止から1年をめどに新たな年金制度の検討を求める付帯決議に起因するものです。総務省は、「旧制度が年金財政の悪化を主要な要因として廃止された経緯に鑑みれば、現実的ではない」とし、新たな議員年金制度として、厚生年金への加入案を提示しており、地方議員が厚生年金に加入した場合、保険料の2分の1が事業主負担分として、財源ついては毎年170億円程度の公費負担が必要と推計されています。
安住財務相の発言を引き出した特別委員会の質疑も確認してみました。質問者は、かつて国会議員年金廃止議員連盟にも名を連ねた民主党の篠原孝議員。篠原議員は、過去に指摘された閣僚の年金未納問題を取り上げ、大臣となった議員は短期共済(健康保険)の年金には加入できるが、長期共済(年金)に加入できないという現行制度の課題を指摘、年金一元化の議論の中で、国務大臣をなぜ入れないのか、政令で改正できるのではないかという趣旨の質問でした。総務省の報告には、国会議員の年金制度についても地方議員と合わせて検討することが望ましいとの指摘もあり、そういったことが背景にあっての質疑なのだと思います。
すでに、全国町村議会議長会、全国都道府県議長会、各議員共済会などから地方議会議員の新たな年金制度についての要望がまとめられ国会議員などへの要請活動が行われていますが、こういった各議長会の動きを私はHPで知りました。本来、議員に直接的に関わる問題について、議員への説明もなく議長会が議会の総意であるかのような意見表明を行わなうべきではないと思います。また、総務省の検討報告にも、「納税者である国民の理解が得られるかという点に留意が必要」といった記述もあるようですが、国会で議員年金の廃止を議決した重みと、消費増税法案を審議している重みを認識すべきと考えます。