リニア中央新幹線計画を検証

環境経済研究所の上岡直見さん、ジャーナリストのまさのあつこさを迎え、リニア中央新幹線に関する学習会を開催し、環境影響評価手続きや交通需要推計のあり方について検証するとともに、自治体として事業者に問うべき事は何なのかといった視点で論点整理を行いました。

中央新幹線については、昨年9月にJR東海から環境影響評価方法書が送付されました。それに対し、神奈川県環境影響評価審査の答申も踏まえ、今年3月、知事から事業者意見書も提出されています。意見書には環境影響評価方法書に、路線や施設の位置や規模が確定されておらず、環境影響が及ぶ対象や地域が不確定であり、また、調査項目、調査手法及び調査地点の考え方が不明瞭であることから、方法書の段階で審議すべき事項について、十分な検討が出来ていないという指摘があります。現時点では、ピーク電力の問題など電力を得る事による影響評価予測や磁界影響への対処も十分とは言えません。

そして、気になるのが需要予測。国土交通省は、2050年には「日本の総人口が3,300万人減少(25.5%減)、特に生産年齢人口(15〜64歳)が3,500万人減少すると試算しています。一方、中央新幹線小委員会の資料を見ると、2045年において中央新幹線が整備されていない場合の東海道新幹線の輸送需要が、現状よりも増加するとの試算が出されています。全国の空港や道路など、実績が需要予測を下回る事例は多数存在しています。

自治体の役割は、住民に知らされていることは本当なのか?幻想を抱いてないか、抱かせていないか?という視点から事業者に対峙していくことであるとのアドバイスもいただきました。
県は、リニア中央新幹線の中間駅「橋本駅」設置による県内への経済波及効果は、年間3200億円に上るとの試算を明らかにしています。この数字についても今後さらに検証を進めます。