指定管理者制度と第三者評価

在宅で認知症のお母様の介護をされているAさんからご相談がありました。介護保険サービスの要となるケアマネさんとのトラブルが苦情申し立てに発展している状況です。

突然、家族の介護に直面した時、複雑な介護保険サービスのしくみを十分理解することも難く、Aさんも、まず、地域包括支援センターに相談されたそうです。横浜市では、指定管理者が運営する地域ケアプラザに包括支援センターを置いています。2003年に指定管理者制度導入され、市内全ての地域ケアプラザが指定管理者によって管理運営されていますが、2006年の介護保険法の改定を受け、横浜市では、地域ケアプラザの運営法人に地域包括支援センターの業務も委託しています。市民にとっては横浜市の地域包括支援センターであり、その看板への信頼は大きいと思います。
 Aさんは、この地域包括支援センターならびにケアプラザを運営する法人の事業所のケアマネジャーとのトラブルを抱えることになりますが、一方で、この法人が運営する特別養護老人ホームへの入所を希望をしている状況で、苦情の申し立てをすることもできないと感じてしまい、精神的にも経済的にも介護の負担が大きくなっていきました。

現在、地域ケアプラザの指定管理者については、5年の契約期間を終えて更新手続きが進んでいます。更新にあたって、指定法人を公募、選定することになっていますが、実態は同じ法人が選定されています。業務の継続性を考えれば、短期間で運営法人が変わるより同一法人が安定的に運営することが望ましいという側面はあります。しかし、同時に、「公の施設」の管理運営という視点での公平性中立性も求められます。

横浜市では、2006年度から指定管理者第三者評価を実施し、「横浜市指定管理者制度運用ガイドライン」も策定されました。2011年度から多くの施設が第2期目の指定期間を迎える中、第三者評価のあり方も見直しが求められており、現在、横浜市指定管理者制度委員会での検証も行われているようです。

これまでの課題を検証し、今後の制度運用の基本方針・原則を明確にするとともに、評価水準や評価機関のスキルを高める取組みは当然必要です。しかし、それ以前に、「指定管理者が自ら評価機関を選ぶしくみ」、これをまず見直すべきです。クライアントに選択される立場にある評価機関がシビアに厳しい評価を行えるでしょうか。これは、評価機関は指定管理者に留まらず、公的サービスを担う事業者に対する第三者評価システムの根本的な課題だと思います。
評価の対価を受け取る評価機関がより公正な評価を行う基本的な環境を整えることが必要です。