常任委員会提案で「補正予算の使途の見直し」

今定例会に、故人が遺した遺言により、「横浜市の福祉事業に役立ててほしい」と市に寄付される1億3千万円を、横浜市社会福祉協議会に補助金として交付する補正予算が提案されました。
今日開催された健康福祉常任委員会で審査した結果、故人の遺志を尊重し横浜市全体の福祉のために活用するべき(社会福祉協議会に補助金を交付すべきではない)と、全委員の意見が一致しました。これを受け、市長から予算の使途の見直し提案があり、委員会として見直し案を確認、補正予算を可決しました。

委員会では、3日の本会議でも問題提起したように、憲法89条に照らして横浜市社会福祉協議会が行う自主事業に補助金を支出することの是非を質しました。これについて、健康福祉局から、公の支配に属するということについては広義と狭義の意味合いがあることや、社会福祉協議会全体を監督している趣旨の答弁がありました。しかし、社会福祉法に定める監督権の多くは、一般的、抽象的な監督権限にすぎません。憲法89条の立法趣旨は、公の機関が単に抽象的な監督権限を有するだけでは不十分であって、具体的な権限が法制上定められている事を必要としています。

また、審査の中で遺言執行者が社会福祉協議会の理事であることも明らかになりましたが、利益相反の疑義を持たれることはあってはなりません。7月には、遺言者からの寄贈を受ける旨を市長名で回答しているにもかかわらず、未だ寄付を受納せず、市長は本会議でも「活用についてどのような方法があるか、寄付者の弁護士(遺言執行者)と協議を行ってきた」と答弁しています。
遺言執行者は遺言者の意思とはかけ離れた行為をおこなってはならず、粛々と横浜市への寄付を進めるべきであったと思います。

委員会では、横浜市に基金をつくり、継続的に幅広く活用することを考えれば良いとの結論に達しました。今回、委員会の議論を受け、使途の見直しが行われたことは、率直に評価すべきと思います。引き続き、総務常任委員会で審査が行われますので注目ください。

第89条 公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。