保育園民営化問題2

移管法人への配慮は異常

 非常に厳しい財政状況におかれていた横浜市としては、早い時期に施策転換を目ざしていたと思われます。横浜市から提出されている準備書面にも、「民にできることは民に」という記載がありました。私も、その事を全て否定しません。民が「公正・公平」に競い合うことも必要だと思います。が、この保育所民営化のプロセスに関しては、移管法人に対して、不自然なほどの配慮がなされていたり、移管先の決定の経緯も釈然としません。
突詰めていくと、誰のためのなんのための「民営化」なのかが良くわからないし、保護者も疑念を抱くだろうと私は思います。
情報公開請求によって明らかになった選考委員会の議事録には、選考の過程で、選考委員から、「あすみ福祉会の財務状況が気になる、前年に園舎を立て替え、積み立て金を崩しタイミング的には気の毒だ、ここが移管を受けるのはかなりの負担になってくるのではないか」と指摘しています。法人監査においても、5年間に渡って継続的に要改善事項が指摘されているにも関わらず未改善だったといったことも報告されています。
また、当初、移管先は、市内の社会福祉法人とされていましたが、保育の質を最優先するために、保育所を良好に運営している社会福祉法人に限定し、さらに優秀な法人を広く募ることで保育の質を担保するためにも、市外の法人に門戸を開いたとしています。
すでに、2000年から、認可保育所の設置主の制限が撤廃され、公立保育所の運営委託先の制限についても同様に撤廃するなど規制緩和が進められおり、社会福祉法人でなければ保育の質が担保できないという主張とは整合性がありません。
そもそも、移管先を最も手厚く公費が投入される社会福祉法人に限定したやり方が、「民でやれることは民でやる」という趣旨に沿いません。
設置基準の規制緩和が進んでも、認可保育所の整備に際して、整備費の3/4を補助する制度や、市が利息を負担する借入制度は、社会福祉法人のみにしか適されません。民営化を機に、この借入制度に、横浜市から有償譲渡を受ける保育所を適応施設とした、「保育所購入費」という項目もあらたに加えられています。市長はこれを従前からあった制度だと答弁されましたが、私が問題としたのは2004年1月に改定された「保育所購入費」の部分です。
これは、社会福祉事業振興金という融資制度ですが、社会福祉協議会が、金融機関から資金を借入れ、無利子で貸し付けるものです。その規定によると、金融機関から借り入れた資金に生ずる利子は「横浜市補助金」を持ってあてるとされています。
横浜市の土地をただで貸してあげて、備品ももちろんただで差し上げて、建物は、評価額の1/4で譲渡し、その資金調達の制度もつくってあげて、20年間その借入金の利子を横浜市が払ってあげるという、そもそも、このやり方が、民でやれることは民でやるといえるのでしょうか?変です。