地域のお弁当屋さんが作る中学校の弁当
青葉区内の中学校に、昼食のお弁当を配達している「ワーカーズコレクティブ ミズキャロットすすき野ブランチ」の奥本代表のお話をうかがいました。
現在、市内各中学校に配達されている弁当は、学校ごとに業者を選び、弁当からカレーの自販機までいろんな形で家庭弁当を補完する形で提供されています。
ミズキャロットは、2005年からあざみ野中学で昼食弁当の販売をスタートしています。前の事業者が採算上の理由で撤退をした経緯もあり学校からの要請を受けての参入でした。
日替わり弁当、カレー、三食丼が、全て500円で販売されています。配達に要する時間と、配膳に要する時間はそれぞれ10分で、20分前に店を出るギリギリまで追加注文を受けています。地域の事業所ならではのきめ細やかな対応です。
食数は約60食で在校生の8%が利用しており、変則的な時間割の日は追加注文が多いそう。注文のまとめや配膳など保護者が協力し、地域でのコミュニケーションも図られているようです。
2016年度には、横浜市立中学全校で段階的に「ハマ弁(横浜型配達弁当)」が実施される予定です。しかし、ハマ弁の注文は事前注文制(前月発注)で、急なオーダーには応えられないということもあり、現在中学校に弁当を配達している業者も継続して配達・販売する体制となるようです。
ハマ弁の業務説明書によると、横浜市立中学校生徒約 82,000 人(2015年5月1日現在)で、ハマ弁(ごはん・おかず)の食数を約 18,000 食、喫食率約2割と見込んでいるよう。(モデル実施の際の喫食率は4.5%。)教育委員会としては、見込みの食数より実績が大きく下回る場合も市として補償はしないとのこと。事業者はどこまで頑張れるんだろう。
奥本さんは、「ハマ弁が始まったら、当然、ミズキャロットの弁当の食数は落ちるだろう」と心配もされています。だからと言って当日申込できるお弁当が無くなると、困ってしまう生徒もいるだろうし…。顔の見える関係で提供される安心・安全な食材で手作りのお弁当を食べさせたいと思う保護者の努力もあって続いてきた事業でもあります。市から正式な協力要請も支援もあるわけではないようですが、当面頑張るそうです。
ハマ弁には、昼食の確保が困難な生徒への無償提供という役割もありながら、支援対象が非常に限定的であるなど、他にも課題を指摘されているところです。地域の良質な事業者の力も活かして、子どもを中心に据えたスキームへと改善できることはあるように思います。
*ハマ弁については、すでに実施事業者も選定されています。
*2016年度「中学校昼食推進事業」として4億8,232万円が予算化されています。(横浜市教育委員会予算概要 より)