「子どもたちに社会のことを教えてもらった」
外国につながりを持つ子どもの現状や課題について、多文化活動連絡協議会代表の中村ノーマンさんのお話をうかがいました。中村さんは、前段の郡司真弓さんのお話を受け、「移民や貧困、親の教育の問題などに重なる問題ですね」と切り出されました。
910万人が暮らす神奈川県における外国人登録者数は16万6千人、全国には約204万人の外国人が在留していますが、外国にルーツを持つ日本人を含めた外国につながりを持つ住民の統計はありません。2014年に実施された文部科学省調査によると、公立の小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校に在籍する日本語指導が必要な外国人児童生徒は 29,198 人(5/1時点)で、2012年度の調査結果より 2,185 人(8.1%)増加しています。そのうち日本語指導を受けている者児童生徒は 24,197 人、割合は 82.9%で、2012年に比べて 3.7 ポイント減少しています。日本語指導が必要な日本国籍児童生徒数は7,897人とこちらも増加傾向にあり、広がる日本語指導のニーズに応えきれない状況です。中村さんは、外国につながる市民が「管理の対象となってもサービスの対象となっていない」と厳しく指摘されました。
神奈川県における日本語指導が必要な外国人児童生徒数は3,228人で愛知県に次ぎ全国都道府県で2番目の多さです。外国籍県民かながわ会議の調査(2012年)では、高校世代外国人推定数3,436人のうち公立高校に在籍する生徒数1,172人で、在学推定率は34%(私学の在籍数84人を加えた在学率36%)とされています。神奈川県全体の高校進学率98%という状況の中で、外国籍の日本語が円滑にできない子どもの多くが高校に進学する事ができていないと推定されます。中村さんは、学ぶための基礎知識や生活習慣、日本の文化経験がない中で、日本語を家庭で指導・支援していることが前提で行われる学校教育の限界を指摘されています。寄り添いの学習支援や生活支援に取組み、子どもと一緒に歩む中で子どもたちに社会のことを教えてもらったという中村さん。 困窮する家庭には子どもの学習を支える力が不足しがちで、親の学習言語力も問い詰めていかなければならない事例も多いそう。親を頼れない子どももいます。「貧困状態であっても、本国への仕送りをするために来日したのであれば生活保護は申請したくない、しかし、申請しないと高校進学の可能性がなくなる。働きならが学ぶためには自立しなければならない。住まいが必要、でも借りられない。児童自立援助ホームは川崎に1カ所(6人定員)しかない。ニーズに応えられる制度があるわけではない。 」と。政府が掲げる1億総活躍社会の実現に向けた経済諮問会議の中では、貧困対策とともに日本語指導の必要性も提起されており、中村さんは、その議論にも期待をしたいと結ばれました。(経済・財政一体改革の具体化・加速について(馳臨時議員提出資料)(PDF形式:868KB))
お話の中で、何度か問われた「平等と公平」の違い。私も、あらためて公平とは何かということを常に考えるメンタリティを持ち、その上で、制度のすき間にある課題に寄り添う活動に学んでいきたいとの思いを強くしました。