認知症カフェ「プラぶらっとカフェ」の取組み
昨年4月、たまプラーザ地域ケアプラザに開設された「プラぶらっとカフェ」について、ケアプラザ所長で看護師の田中ひろみさんのお話を伺いました。
プラぶらっとカフェは、認知症の方、介護者、外出機会が少ない方など誰でも参加できる集いの場です。認知症当事者も運営に関わっており、地域ボランティアによる茶菓・飲み物の提供の他、手芸、囲碁、将棋、ハンドマッサージなどのブースや家族の茶話室を開設、時には専門職による講話や参加者による手品といったプログラムも提供され、毎回40人を超える方が参加されているそうです。
田中さんは、24時間365日の訪問看護の現場でお仕事をされてこられましたが、地域ケアプラザの業務を通じ、看護の現場でケアされた方よりも、ある意味重度な人が地域でひっそりと介護保険も使わずに暮らしているといった現実に気付かされたとのこと。真っ暗な部屋で寒い時期にゴミの中で凍傷になりながら暮らしていた人、詐欺に会って困っていた人、地域の集いの場に行きたくてもいけない、来てもらわない方が有り難いと疎んじられて暮らしている人たちを「見過ごせない」「何とか暮らしている人の行き場を作りたい」「対称となる人は10人はいる…始めて見よう!」と思われた田中さん。ケアプラザを利用されているキーパーソンに声をかけ、地域住民を中心とした話し合いを重ね、民生委員、医療介護職、行政にも協力を要請するなど開設の準備に奔走されました。
プラぶらっとカフェは、参加者にとっての生きがいづくりの場であり残存機能発掘の場であり、また、介護者同士の語らいの場としても機能しています。ボランティアの輪も広がり、認知症キャラバンメイトの活躍の場ともなっています。さらに、専門職が関わることでその場でスピーディな支援に繋げられるという効果もあるそうです。今後は、専門医への連携システムの構築や、近隣地区での認知症カフェの展開に向けても取組みたいとのこと。
田中さんのお話をうかがい、認知症や認知症の人に対する理解を深め、認知症の人への対応力の向上も期待される認知症カフェは、認知症ケアとして重要な取組みであることがわかりました。「目の前の1人の方の暮らしを考えることが出発点になる」という田中さんの言葉にも力を頂きました。私たちも、見えづらい認知症当事者や家族の声やサインをキャッチするための場や地域で暮らすことを可能にするネットワークづくりに努力したいと思います。また、各地で展開されている認知症カフェの制度的な位置づけについても調査・研究を進めていきます。