「横浜G30」は、2001年度のごみ量に対して、2010年度には30%減らしましょうという取組みでした。結果は、2009年度の市全体のごみ量が93万トンとなり、2001年度の161万トンに比べて42% の大幅な減少が実現しました。G30による環境負荷の低減やコスト削減効果もアピールされてきました。
新プランでも、環境モデル都市として、環境負荷の低減と健全な財政運営が両立した持続可能なまちを目指すことが謳われました。
そこで、予算審査では、まず財政面からG30プランを検証しました。
2001年度当時、ごみ処理原価(1tあたりのごみ処理費)は、42,494円/トン(内訳:収集運搬27,839円/トン、処理処分14,655円/トン)でしたが、 2009年度 決算では、44,156円/トン(内訳:収集運搬27,622円/トン、処理処分16,534円/トン) に上昇しています。
市民一人あたりの処理コストについても、焼却工場の閉鎖で、処理コストの削減が図られたものの、現在は上昇に転じています。ごみ量は削減されても市民の負担が増えていくという状況です。リサイクル貧乏という言葉があるように、リサイクルにはお金が掛かります。本来、リサイクルにかかるコストやエネルギーについて、廃棄物会計やLCAによって明らかにした上で施策の評価をすべきですが、大量リサイクルG30への評価は高く、リデュース施策への転換には時間がかかりました。
資源循環局は、今後、3R夢プランを進めていくにあたり、コストの縮減に務めたいとしています。しかし、一方で、「状況に応じて受益者負担の考え方を導入した施策展開も考慮していきます。」とあります。ならば、その前段で、コスト分析の精度を高めて、現状のごみ処理、リサイクルにいくらかかっているのかという自治体としての基礎的な情報をわかりやすく市民の皆さんに示していくことが必要です。「ペットボトル1本をこんな風に処理すると○円かかります。アルミ缶は△円です」という情報です。
2005年年5月に改正された「廃棄物処理法に基づく国の基本方針」に基づき、国から一般廃棄物会計基準が示されました。この基準を導入することで、品目別のごみ処理、リサイクルコストを明らかにできるし、ごみ処理施策を検証することや他都市の施策との比較も可能になります。
リサイクルにはこれだけのコストがかかりますという情報がなければ、発生抑制施策への転換も難しいと思います。予算審査でも、横浜市でも、一般廃棄物会計基準を導入し、正確でわかりやすい情報提供に務めることを提案しました。
市民一人あたりの処理コスト
2001年度 15,860円/人(549億円/3,461,545人)
2006年度 11,659円/人(420億円/3,602,263人)
2007年度 12,157円/人(441億円/3,627,420人)
2008年度 12,488円/人(456億円/3,651,428人)