誰のための議論だったのか…「子ども手当」廃止

民主、自民、公明3党が、「子ども手当」を廃止する方針で合意した事が伝えられました。チルドレンファーストを掲げてきた民主党からも、東日本大震災の復興財源捻出のためという大義を前に、マニフェストの見直しもやむなしという声、いや、子ども手当の趣旨を曲げてはいないのだという主張も聞かれます。

子ども手当の支給事務を担う市町村は、事業の見直しにともなって、システムの改修作業を余儀なくされることとなります。
2010年、子ども手当の支給が始まった際の横浜市の事業予算は660億円、うち支給のための事務費が4億3千万円を占めていました。またか…の思いです。

この間、子ども手当をめぐる議論は財源論に終始し、事業効果が検証される間もなく目まぐるしく変化しました。しかし、政党間の面子よりも、児童手当であれ、子ども手当であれ、「安心して出産し、子どもが育てられる社会をつくる」とした理念をどう実現するのかといった議論こそが望まれます。

日本の家族関係社会支出のGDPは、子ども手当分を合わせても、1.1%程度にしか過ぎません。まずは、子どもを社会で育てることへの合意とともに制度や政治への信頼を高め,保育・子育て支援予算のパイを拡げる努力を続けたいと思います。