若者と政治をつなぐ〜主権者教育から考える〜
広島に帰省中です。
広島で手にした中国新聞の19日の紙面には「18歳の投票率 50%超は3町」という、先の参議院選挙の投票率を伝える気になる記事も。
広島県全体では、18歳の投票率が42,60%、19歳の投票率は31,91%、18歳と19歳で10,69%の差があります。19歳の投票率が20,0%となった町選管(神石高原町)の分析として「住民票を町に残したまま県外に進学や就職している人が多いのが影響したのでは」とのコメントも紹介されていました。
「18歳選挙権認知度調査」(2015 年 6月(公財)明るい選挙推進協会調査)でも、高校卒業後に親元を離れて進学した大学生等の6割以上が住民票を移していない実態が把握されています。こうした問題への対応策として、横浜市は、先の参議院選で「住民票を移して選挙に行こう!」(やむを得ず住民票を移していない学生には 『不在者投票』の利用を呼びかける) キャンペーンを実施しています。このキャンペーンの効果も検証されると良いなあと思います。
同選挙の神奈川県の投票率は、18歳が58,44%、51,09%、横浜市では、18歳の投票率が60,72%、52,49%、青葉区では、18歳の投票率が67,54%、62,94%でした。2015年度から始まった主権者教育が18歳の投票率の向上に寄与していることは間違いないと思われます。
総務省の抽出調査では、青葉区の荏子田小学校投票所の18歳の投票率が73,49%だったことが報じられ注目を集めましたが、8月12日には以下の報道もありました。
(共同通信記事より引用)
引用開始〜選挙権年齢が18歳以上に引き下げられて初めて実施された7月の参院選を巡り、神奈川県警青葉署が横浜市青葉区の県立高3校に「区の18歳投票率が高いが、特別な取り組みをしたのか」と電話で問い合わせていたことが12日、県教育委員会などへの取材で分かった。青葉署は「18歳投票率が高かったとの報道を受けて、理由を調べるためだった」と説明。「電話をかけたことに問題はなかった」としている。県教委などによると、参院選後の7月15日、青葉署生活安全課の署員が3校に電話で問い合わせた。県は「今後の主権者教育に影響はなく、問題ないと考えている」としている。〜引用終わり
県立高校には、必ずしも地域の子どもが通ってくるわけではないし、中学卒業時に3割の子どもが私学に進学する青葉区。投票率73,49%の母数となったこの地区の18歳の有権者は83人なので、地域的な傾向・特徴を分析するには十分なサンプル数とも言えないでしょう。そういうことは十分承知の上で、警察から学校に問い合せがあったのだろうとは思いますが、県のコメントとして「主権者教育」に言及しており、県警の問い合せが、主権者教育のあり方に関するものであったのではないかと推察されます。
主権者教育について、とりわけ文部科学省が教育現場に対して求める「政治的中立」については、現場の戸惑いの声も聞かれますが、幅広い思想、意見に触れる機会をつくることや、排除しないことで中立性を担保することを考えれば良いのではないでしょうか。
以前にお話をうかがったYouthCreateの原田謙介さんは、若者と政治をつなぐ上で、地方政治の重要性を指摘されていました。(「若者と政治をつなぐ」レポート)また、特定の政党、議員個人ではなく議会として学校で出前授業をされた事例もうかがいました。学校や暮らしの中の問題意識や、地域、社会への問題意識は政治的関心につながっているものであり、それらが自由に議論され一人ひとりが判断する経験を重ねていくことが大事だと思います。そこに、地方議会がコミットできることも望ましいことだと思います。
始まったばかりの主権者教育ですが、事例を積み上げ優れた実践に学ぶというプロセスが必要なのだと思います。選挙制度の運用についても改善できることはありそうですし、これらは教育委員会や選挙管理委員会の役割。今後の取組みにも期待します。県警として、高投票率となった理由を調べることが業務上必要だった理由や、今後の業務にどのように生かすのか、とうことは聞いてみたいところです。
8月29日には「若者と政治をつなぐ」ミニフォーラムを開催します。4月〜6月に実施した「若者と政治をつなぐアンケート」(10~30代の皆さんを対象に実施)の最終結果も報告させていただき意見交換します。ふるってご参加ください。
ミニフォーラム「若者と政治をつなぐ」
日時 8月29日 15:30~16:30
場所 神奈川ネット3階
問い合わせ先 045-651-2011