こども誰でも通園制度と一時預かり事業

6月13日、「こども未来戦略方針」が閣議決定され、具体的な施策の検討の場として、子ども・子育て支援等分科会の議論も始まりました。

検討項目として
・児童手当の拡充
・妊娠期からの切れ目ない支援の拡充:伴走型支援と産前・産後ケアの拡充
・幼児教育・保育の質の向上 ~75 年ぶりの配置基準改善と更なる処遇改善
・全ての子育て家庭を対象とした保育の拡充 ~「こども誰でも通園制度(仮称)」の創設~
などが挙げられていますが、なかでも、注目されるのはこども誰でも通園制度。(→私だけ?)



こども誰でも通園制度にも謳われている「働いていても・いなくても預かる」を実現するために、私たちが実践してきたのは、一時預かりでした。一時預かりは、多様な働き・暮らしを応援するだけでなく、緊急ニーズや保護者のレスパイトや相談の窓口にもなります。実にいろんな機能と可能性をもった事業。
少子化対策の切り札として登場したこども誰でも通園制度を通じて、一時預かり的な?事業の重要性が認識されると良いなあと期待をもって分科会の様子を覗いてみると…。

すでに関係団体から、
・(実施にあたっては)施設・保育者の負担軽減が必要
・一時預かり→いざという時の助っ人、定期預かり→子育てに伴奏してくれる仲間=定期性こそが制度の要
・市町村によるあらたな認定(措置)の仕組みが必要
・「保護者のレスパイトケアのみを目的にしたもの」や「園児不足の事業者救済措置」と受け取られかねない報道などが存在することを懸念しているといった意見が出されていました。

確かに、毎日保育所を利用する子どもに比べて、週に1~2日とかスポット的な利用に対応するには、それなりに保育士のスキルを求められる場面も多いでしょう。それは誰でも通園制度に限らず、子ども・子育て支援交付金を活用して従来から実施されている一時預かりだって同じ。なので、現在実施されている一時預かり事業について、まず必要な保育士を配置できる補助制度にしてほしいものです。

スポット的な一時預かりニーズの中にもソーシャルワーク(SW)が必要なケースも多々あります。定期的な預かりの方がスポット的な預かりよりもSW機能が発揮できるなんていう単純な話でもないと思います。
一時預かりは、保育所との直接契約で、緊急預かりの判断も優先度も現場で判断できるというメリットがあります。誰でも通園の対象児童の認定を役所が行うとした場合、役所はどこまでやれるのかな。結構大変な仕事ですよね。


となると、誰でも通園制度じゃなくて、むしろ今実施している一時預かり制度の方が自由度があるしそれでいいのかな?(ちなみに一時預かりでも定期的な預かりはやれますし)誰でも通園制度の給付がめちゃくちゃ高いとか、一人当たりの利用可能時間がそれなりに保証されているというのであれば、誰でも通園制度も魅力あるかもしれないけれど。予算規模はどうなんだ?これらはまだベールに包まれている。

まもなく始まる「こども誰でも通園制度(仮称)の本格実施を見据えた事業実施の在り方に関する検討会」では、通常の保育や一時預かりとは異なる「こども誰でも通園制度」の意義や、利用方法や実施方法、地域の実情を踏まえた事業実施の在り方などを論点に議論が進められるとのこと。
一時預かりとは異なる「こども誰でも通園制度」と念を押されたのならば、今後も、横浜市は「乳幼児一時預かり事業」やこれまで実施してきた保育所における一時預かりを、地道に広げる努力をすればいいのではないか。
こども誰でも通園制度の本格実施(2024年度)を見据えた「保育所の空き定員等を活用した未就園児の定期的な預かりモデル事業」も各地で展開されており、8月からは横浜市でも二園でモデル事業が始まりました。(8月の利用人数:A施設=2人、B施設=0人だそう)モデル事業にも手を揚げたのなら、先進的に、そして、かなり熱心に一時預かり事業を実施してきた横浜市が「こども誰でも通園制度および、一時預かり事業」がどうあるべきかを表明されると良いのになと思うこの頃です。