在宅介護は蚊帳の外

4月12日から、高齢者向けの新型コロナウイルスワクチンの優先接種が始まることになり、231万人の高齢者人口を抱える神奈川県には、4月中に44箱が届く予定とのこと。
これは2万1450人分で、0.9%の高齢者のワクチン接種が可能となる計算になります。(1箱=975回接種分×2回接種として計算)
県内最大の自治体の横浜市は、「現在神奈川県が調整しているところですが、本市の対象者数(65 歳以上の高齢者数:約 93 万人に比べて、ごくわずかとなる見込みです。」とし、「3月下旬から発送する予定の個別通知について、当面送付を見合わせる」と記者発表(3/1付け)を行っています。
加えて、ワクチン接種は、施設接種(高齢者施設等)から開始すること、集団接種・個別接種については、4月 26 日の週以降のワクチン供給量が判明するまで実施を見合わせるともあります。
国の説明も二転三転しており、ワクチンの供給量がわからなければ、医療体制の確保も進められず、どこの自治体も対応に苦慮してきたと思われます。

このような状況下、2月5日には、厚生労働省の事務連絡「病床ひっ迫時における在宅要介護高齢者が感染した場合の留意点等について」という事務連絡が発出されているのですが、それによると、在宅の要介護高齢者が新型コロナウイルス感染症に感染した場合であって、やむを得ず、自宅療養を行う場合には、生活に必要なサー ビスを確保することなどとされています。最後の砦としてヘルパーは感染者の自宅を訪問せよということですね。
しかしながら、在宅介護サービスの従事者は、ワクチンの優先接種を認める介護職の対象からは除外されています。高齢者施設職員に対するPCR検査についても、在宅サービスの従事者は対象外とされています。何故でしょうか。
国会では、尾辻かな子議員衆議院議員がこの問題を取り上げてくれていましたが、田村憲久厚生労働大臣は、施設はクラスターが発生した場合にもサービスを継続していかなければならない、一方で在宅サービスでは事業所を変えるなどの対応が可能などと答弁。尾辻議員は、ホームヘルパーの有効求人倍率が15倍となっていることを挙げ代わりはいないと訴えてくれていましたが、大臣には、深刻な人材不足に陥っている訪問介護の厳しい実態をもう少しご理解いただきたい。

PCR検査経費については、神奈川県の新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金の補助対象とされていましたが、2021年3月2日以降の申請は原則補助金の交付対象となりません。
現場では、今後の対策ついて不安の声が上がっています。要介護高齢者のおよそ7割は介護サービスを使いながら在宅で暮らしています。感染を拡大させないためにも、必要な介護が提供されるためにも公的支援が求められます。
昨年から、何度も国や自治体へ提言していることではありますが、ぜひ、議員の皆さんにも後押しいただきたい。