自治政府と市民の責任〜辻山幸宣さんのお話から〜

先日、新聞記事を整理していて、‘自治体「圏域連携」手探り’(読売新聞8/23)の記事を目にしました。
おーこれは、辻山幸宣さん(公益財団法人地方自治総合研究所所長)が問題提起されていた2040構想に関する報道だ!と気づいた私は、報告書に急ぎ目を通すことに。
報告書とは、7月に総務省の自治体戦略2040構想研究会が公表した「新たな自治体行政の基本的考え方」(第二次報告)。この報告を下に第32次地方制度調査会で「人口減少が深刻化し高齢者人口がピークを迎える2040年頃から逆算し顕在化する諸課題に対応する観点から、圏域における地方公共団体の協力関係、公・共・私のベストミックスその他の必要な地方行政体制のあり方について」調査審議を行うことになるそう。
2040構想研究会報告書では、1.スマート自治体への転換、2.公共私によるくらしの維持、3.圏域マネジメントと二層制の柔軟化、4.東京圏のプラットフォームといった考え方が示されています。読み進めると、半分の職員数でも担うべき機能が発揮される自治体、自治体行政の標準化・共通化、圏域単位での行政のスタンダード化などいった提案が並んでいました。
辻山先生は、2040構想研究会報告をひき、住民集団の側面を重視する「群民的自治体観」と管轄区域内での行政サービス提供機構の側面を重視「機構的自治体観」という二つの立場を紹介、あらためて自治体という存在は?という投げかけられました。
そして、いつものように自治体とはというお話へ。

住民代替の仕事のために住民の責任で作った自治政府が、市民の手を離れ国の地方行政機関となり自己統治から統治される側へと、その姿を変えていった歴史をたどります。政府の時代の翳りが見え、「誰が社会を担うのか」という議論とともに登場した「新しい公共」・協働論についても、政府はほとんど市民に丸投げ、もはや「協働疲れ」が起こっていると手厳しい。
さらに、踏み込んで、「協働の提案を行政からやってはいけない。提案権は住民にしかない。公共を共に担っている市民との間でしか協働を成立させてはいけない。」ときっぱり。そして、誰のためでもなく、自分たち市民とその子・孫の世代のために、できることを一緒にやる、それが自治政府と地域を運営していく市民責任と結ばれました。
自治政府と地域を運営していく市民の責任を問い直す時間でした。
‘自治体「圏域連携」手探り’という記事には、北海道夕張市長の「まず最小の単位である自治体で何ができ、何ができないのかを整理することが重要だ」というコメントもありました。が、ここまでの議論からは圏域に交付税を配分し独自のまちづくりを抑制するという方向が見て取れます。
第32次地方制度調査会の議論は2年をめどに行われると言います。
圏域の自治体を一つの自治体にすることで滅びゆく小さな自治体を救うことができるのか。
ここでの議論を注視するとともに、辻山先生が言われた「住民たちが漠然と抱いている豊かさと、行政が考えるの豊かさは随分距離があるだろうと思っている。」という指摘こそをグググっと掘り下げなければならないと思っています。