透明化をはかるべき「指定管理制度における情報公開と公表のあり方」

第2回定例会 討論より

県議会第2定例会最終日、官民連携手法の指定管理者制度に関して、情報公開のあり方につて提言を交え以下討論を行いました。

定県第58号議案は、伊勢原射撃場の指定管理者を指定するものですが、施設を所管する教育局の「指定管理者選定会議」の選定結果が、先に審査を行った外部評価機関である「神奈川県立スポーツ施設指定管理者評価委員会」の審査結果と異なるものであったために、結果として選定経過や情報公開のあり方についてあらためて問われるところとなりました。

そもそも、指定管理者の応募書類は、神奈川県情報公開条例の第3条の行政文書に該当するものであり、同条例第4条に規定する公開の対象とされるものであります。同条例第5条には行政文書の公開が義務づけられておりますが、指定管理者の選定に関する情報であっても、原則としての取扱いが異なるものではないはずです。

本県に、指定管理者制度が導入された2005年、指定管理者公募に係る応募書類の公開をめぐり、指定管理者に選定された団体から不服申立てが出され、神奈川県情報公開審査会に諮られています。その際、審査会は、情報を公開することによって、 不服申立人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとまでは認めることはできないと結論付け、また、公の施設の管理が高い公共性を有することや、それに伴う県の説明責任に配慮することは当然であるとし、指定管理者公募に関して神奈川県に提出した応募書類を一部公開するとしたことは、妥当であると答申しています。

本県においては、この答申を前例とし情報公開の標準的な考え方としているようですが、このような前例と運用の実態があるのであれば、今後は、指定管理者の応募書類等の情報公開と公表に関する標準規定として明文化し、つまり、何を開示し、何を非開示とするのか、また、その理由を明らかにし、その規定を公開すべきです。その上で、指定管理者応募書類は、神奈川県情報公開条例に基づき情報公開制度の対象となることを指定管理者応募要綱に謳うべきと考えます。

「神奈川県情報公開条例」には、指定管理者が管理する公の施設の管理に関する情報についても、県民に説明すべく努力義務を課し、指定管理者の情報公開の取組みを推進するために実施機関が必要な施策を講じる義務を負う事が規定されています。しかし、具体的な情報公開の取組みは、内部規定である「神奈川県情報公開条例の解釈及び運用の基準」や、施設ごとに、指定管理者が自ら策定する「情報公開規定」に委ねられています。

これらについても、公の施設の管理が極めて公共性の高い業務であることや、指定管理者は使用許可権限が行使できるなど従来の管理委託者よりも県の代行としての性格が強いことを踏まえれば、実施機関である県の立場から、制度運用の透明性、公平性高め、情報開示の水準の確保に資する取組みを推進する必要があることは言うまでもありません。
以上、今後も、県民への説明責任を果たす取組みを全庁的に推進いただいことを申し上げ、賛成討論といたします。