2010年介護保険法の改正に向けて

生活支援サービスを提供するNPOと意見交換

横浜ユニット連絡会;ミニフォーラム
横浜ユニット連絡会;ミニフォーラム
 昨年、介護認定基準の見直しが行なわれましたが、4月から9月までの混乱は目に余るものがありました。10月の再改定後も、実生活の困難さを考慮しない調査判定は改善されていません。06年の制度改定により、生活援助に一律の時間制約を設けたことや、地域包括支援センターの主任ケアマネの指導を仰ぐシステムを導入したことなど、一般ケアマネにとっては、その活動を正当に評価されていないのではないかという疑問も生じています。

 横浜市では、07年から食事サービスを介護保険事業に組み込み、利用対象を原則「要介護2」以上で一人暮らしの人としたため、利用が減少しています。しかし、介護度が高くなくても、栄養面の確保に留まらず、自立支援や見守りなど食事サービスが生活の要となっている事例は少なくありません。港北区で食事サービスを提供する「ほっと」では、病気のための禁止食品、制限食品、カロリー制限、嗜好の関係もあり1日の食数の1/4にあたる41食余りに特別な対応が取られています。ニーズの拾えない特定高齢者対策に頭を悩ませるよりも、食事サービスを介護予防の重要なメニューとして位置づける方が、ニーズにフィットしているし、結果的には医療費削減にもつながるのではないでしょうか。

 昨年の報酬改定では、多くの加算方式が導入されましたが、加算は利用者の利用料に跳ね返るしくみですし、事業者にとっては事務量が煩雑で、安定的な収入ではないことも課題です。処遇改善助成事業の事務量も膨大であり、一時的なバラマキの様相が強いとの意見も出されました。
 利用者の負担増のリスクにも配慮しつつ、介護者の処遇改善を進めること、そして何より、介護の社会化をこれ以上後退させないよう、給付抑制施策からの転換をはかる、そのためには財源確保=パイを拡げることが必要だと思います。私は保険料方式にこだわることなく、一般会計から税を投入することも含め、保険者が独自性を発揮できるような議論も必要だと思っています。今後も現場の声を集め、制度提案に取り組みます。

パネラー:NPO法人ワーカーズコレクティブたすけあい戸塚/ケアマネージャー草朋子さん、食事サービスワーカーズコレクティブほっと/小沢まゆみさん、デイサービスNOAH/W.Coオリーブの渋谷さん