介護の人材がにげていく

先週放送されたNHKスペシャル「介護の人材がにげていく」は、多くの方に衝撃を与えたようです。実際、介護労働の現場は、いつもいつもスタッフ不足で悲鳴を上げています。きつい仕事に見合わない賃金、人材不足を補うハードワーク、まさに3K職場だという声が聞かれます。厚労省の試算では、今後10年間で介護職員を現在の100万人から150万人に増やすことが必要としていますが、1年間に、介護労働につく方の4人に1人が辞めていくそうです。

介護という仕事は、主に、女性たちが無償労働で担ってきました。そのため、介護保険がスタートし、介護の社会化が進んでも、その評価は低く押さえられています。「家の嫁から社会の嫁へ」という樋口恵子さんの言葉が、現状をよく表していると思います。考えさられました。
介護保険制度に先駆けて、地域に必要なサービスを「助け合い」をベースに展開し、将来的には自分自身も利用できるような料金で提供しようというNPO,有償ボランティアの活動もありました。その労働評価は最低賃金を下回る事例も多く、若い世代の担い手が広がらないという課題もあります。こういったNPO・市民事業を「公」がコーディネートし、「官の仕事を民がやる」というような、市民事業セクターの拡大とは本質的に異なる事例も増加しました。行政の下請け的な事業を広げることは、結果的には労働評価を高めることには逆行します。
事業に強さが無ければ、「働く」ということを正面からとらえることはできません。市民資本の循環、再投資のシステムも、もっともっと拡大しなくてはなりません。
もちろん、介護保険制度において、介護労働を適正に評価し、賃金、労働条件の見直しをすすめることは必要です。
しかし、今、多くの現場が事業マネージメントに精一杯で政策・制度へのアクションに目を向ける余裕も持てない現場もあるのだと思います。今日、明日の現場をどう回すか、いかに人材を確保するかと。
悩みます。でも、とにかく、今できることを。
現場に足を運びその声を捉えていきたいと思います。現場の声こそが制度をつくり・変える力になります。