地域の専門家も考える「交通のあり方」

「神奈川県生活交通確保対策地域協議会分科会」で、市営バスの再編案についての協議が整ったことが伝えられています。しかし、分科会の協議においては、生活交通確保方策の方向性として「今後の利用状況、地域における議論などを踏まえ、改めて協議する」といった付帯意見も示されています。昨日の交通常任委員会でも、子どもたちの通学における負担増加、廃止・減便の影響の事例が示され、暫定運行の改善を求める意見が出されました。交通局長からは、「中・長期的なバスネットワーク維持のための路線再編」の必要性も語られましたが、暫定運行については、利用状況、収支状況を勘案するものの、2年後の廃止を前提としているという姿勢は変わりませんでした。
バス事業の効率化に向けた路線再編成は、04年に横浜市営交通事業あり方検討委員会から出された答申に基づいて進められましたが、この答申自体に、環境や福祉のまちづくりをトータルにとらえる視点が欠けていたし、住民、利用者への影響調査、路線廃止への合意形成など、積み残した課題もあります。縮小社会であっても、高齢化が進み新たなニーズが健在化することもあるはずです。
先の協議会分化会は、地域住民の意向も踏まえ、利便性確保に十分留意することや、路線再編後も、各路線の利用状況を的確に把握し、柔軟な対応に努めるとともに、その状況について協議会に報告するという意見も附しています。
とは言え、公営企業会計という枠の中で やれること、やれないことがあるでしょうし、横浜市の総合的な交通体系づくりは、市長部局、市民との協働作業。まちを知り、暮らしを知る地域の専門家の力も得てグランドデザインを描くことが必要です。