「市民にご迷惑をかけた」という市長答弁に思う事

自治法に基づき市民への責任を果たすべき

昨日からまった定例会に、「東海道本線岩間川橋りょう及び金沢橋改良工事委託契約の変更」に関する議案が出されています。この工事に関しては、昨年、横浜市がJR東日本に委託する河川改修工事の工事代金を実際の出来高を超過して支払っていた違法支出事件が明らかになり、未竣工部分の補助金を国と県に合わせて、約5億6000万円ほど返還するとともに、加算金1億6600万円を支払う事態になりました。

すでに、再発防止委員会の報告書をまとめ、工事の進ちょく管理を怠った等の理由で13人の職員が処分を受けています。これで一件落着ということなのでしょう。もちろん、再発防止の取組みは必要ですが、市民に与えた損失の責任は曖昧なままにされています。

私は、ただ一点、「市長は、市民に対して損失を与えたという認識があるのか」を尋ねました。それに対して林市長は「市民にご迷惑を掛けた」との認識を表明されました。再発防止委員会の報告には、「市民に対し損失を与える結果に至ったことを危惧する」との記載がありましたが、市長はあえて「損失を与えた」という言葉を使われませんでした。
林市長は、気付かれていないかもしれませんが、答弁を作った職員は間違っても「損失を与えた」とは書かないでしょう。

自治法234条には、地方公共団体が工事契約を締結した場合において、職員は、契約の適正な履行を確保するため、必要な監督又は検査をしなければならないとあります。また、243条には、監督又は検査を行う職員の故意又は過失によって生じた損害を賠償しなければならないということが明確に書かれています。検査調書偽造という行為は、自治法に抵触し、賠償責任を問われる行為です。
234条には、普通地方公共団体の長は、職員が同項に規定する行為によって当該普通地方公共団体に損害を与えたと認めるときは監査委員に対し、その事実があ るかどうかを監査し、賠償責任の有無及び賠償額を決定することを求め、その決定に基づき、期限を定めて賠償を命じなければならない、ともあります。

本事件の加算金は、進ちょく管理を怠ったレベルの話ではなく「検査調書偽造」という違法行為により発生しています。検査調書偽造という行為は、自治法に抵触し、賠償責任を問われる行為です。
事実に踏み込まない、踏み込めないことが残念です。現在、この事件は、住民監査請求から住民訴訟に発展しています。多くの方に注目いただければと思います。