水道事業を取り巻く状況が厳しさを増す中で、各地で官民連携による新たな新たな水ビジネスが模索されていますが、2010年度には、横浜で市の100%の出資による「横浜ウォーター株式会社」も設立され、この会社に横浜市の鶴ヶ峰浄水場運転管理業務が委託されました。本来、鶴ヶ峰浄水場は、2009年度末閉鎖予定でしたが、水道局は、新会社に事業者としての経験を積ませることを目的に、鶴ヶ峰浄水場の閉鎖を延長してまで、運転管理業務を随意契約で委託、その後、川井浄水場の運転管理も委託することとなります。
当時、私は、自治法ならびに地方公営企業法施行令にもとづく随意契約要件、あるいは公共工事の入札び契約の適正化の促進に関する法律、独占禁止法などに照らしても、随意契約はできないとの立場から2010年度水道事業会計予算議案に反対しました。
このたび、横須賀市が新会社設立を断念するに至った理由を見ると、新会社には、資力、信用、技術、経験等がなく唯一の契約相手として認められないなど上下水道が行う新会社への随意契約は理由に合理性がないという弁護士の指摘を考慮したものであることが解ります。最高裁判所の判例では、相応する資力、信用、技術、経験等を有する相手との関係で、市民に不利益を与えない場合においては、契約の性質または目的が競争入札に適さない場合、随意契約が認められるとされています。横浜市の水道局長は、当時、新会社は、会社としては無経験であっても、経験を有する元職員によって構成された会社であり業務遂行能力を有していると判断できるため随意契約できるという見解を示されています。しかし、あくまでも新会社は、一民間企業であり、企業としての実績がないからこそ経験を積ませる必要があったと自ら認めています。
議会としても、健全経営に努め、経営悪化による新たな財政支援は、原則として行わないことや、新会社との随意契約は、第三者の意見を聞くなどして、客観的に適正な金額にすること等の付帯意見を付け2010年度の水道事業会計予算は、賛成多数で可決しました。
しかし、「付帯決議には、法的拘束力がない。法律自身でない。」のです。(最近ある方からご指摘いただきました)
官民連携が推進される中、自治法などとの整合性において様々な課題が健在化しており、公正・公平な契約締結・事業執行を担保する新たなルールづくりも必要になっています。
また、議会がその議決に大きな責任を負っていることをあらためて自覚し今後も、一つひとつの議案にしっかりと向き合っていきたいと思います。