「介護報酬改定」〜プラス改定を行う環境にないのか?〜
大詰めを迎えた介護報酬改定をめぐって、厚生労働省と財務省の折衝が続いているようです。
12月9日に開催された厚労省の社会保障審議会介護給付費分科会には、「令和3年度介護報酬改定に関する審議報告(案)」が出されました。その内容は、感染症や災害への対応力強化を始めとし、地域包括ケアシステムの推進や、自立支援・重度化防止の取組、介護人材の確保・介護現場の革新、制度の安定性・持続可能性の重要性や必要性を訴える内容でした。
厚労省に先んじて、11月25日には、財務省の財政制度等審議会より財務大臣宛に、「令和3年度予算編成等に関する建議」が提出され、介護報酬改定については、「新型コロナが国民生活にもたらしている影響に鑑みれば、通常の高齢化等の要因 による国民負担増に加え、プラス改定により更なる国民負担増を生じさせる環境にはなく、国民負担を抑制するよう改定率を決定すべき。」とされています。
「令和2年介護事業経営実態調査」によると、2019年度決算において、介護事業者の収支差率は、前サービス平均で前年度比△0.7%となっています。また、厚労省の調査によると、介護事業所全体の32.7%で今年10月の収支状況が感染拡大前より悪化したと言います。東京商工リサーチは、介護事業者の倒産件数も、年間最多となり、休廃業・解散も最多ペースで推移していることを報じています。こうした現状を見れば、前回を上回るプラス改定を行うべき事情は十分見出せるのではないか?とまず思います。
そんな情勢の中、12/12、横浜ユニット連絡会では、今年行ったコロナ禍における介護事業所や従事者へのアンケートや、厚労省や国会議員の皆さんとの院内集会、横浜市への政策提案活動を地域の皆さんと共有するオンラインミニフォーラムを開催しました。
介護現場のワーカーの皆さんから発せられるのは、利用者や支える家族に必要とされている限りケアを続けていきたいという想い。慢性的な人材不足と厳しい財政状況に喘ぎながらもなんとか持ちこたえてきた、だけど、コロナ禍でさらに厳しい状況に陥っている。
コロナ禍にあって、多くの人々に、介護現場の厳しい実態とともに、エッセンシャルワーカーとしての役割や重要性が理解されたのではないでしょうか。
この間、厚労省や横浜市にも、基本報酬の引き上げによる処遇改善を求めてきましたが、次期改定では、ぜひとも基本報酬の引き上げによるプラス改定を実現してほしい。
というわけで、あらためて、財務大臣にも意見書を送ろうということに。この顛末は、近日お伝えできるのではないかと思います。