介護の社会について考えた

GW 2021
コロナ禍の中で帰省を諦めて、仕事半分+休み半分で過ごしたゴールデンウィーク。
ヘルパーステーションにかかった電話は食支援を求めるものでした。
365日24時間体制で電話をうけるヘルパーステーションがあってよかった!
昨日は、一日デイサービスでボランティアワークも。

「お好み焼き食べたい」のリクエストに応えて広島焼きを10枚ほど焼いてみる。
毎年、利用者ご自身の意思と言うよりは、介護を担っておられるご家族の要望に応えて営業している感じですが、開所する意味はあると思います。そもそも、介護保険制度は、当事者(高齢者)のためだけにあるのではなく、介護を担う人全てを支える制度なのだから。
だから、最近のヤングケアラーに関する議論についても、ついひとこと言いたくなってしまいます。
数年前に、子育てと介護のダブルケアという課題が提起されたときにも、同じような感覚を持ちました。

8050問題
仕事もしていない、子育てもしていない、でも生活を維持しながら介護することが極めて困難な介護者もおられます。それでも、ある方は、認知症の親の介護への責任を強く感じておられました。この事例では、ケアマネジャーには生活困窮者自立支援制度の活用を進言してみたけど一向に進まず、独自に就労支援のプログラムを実施したり、区のケースワーカーに介入してもらうことでようやく変化が見え始めています。

私は、ヤングケアラーやダブルケア、8050問題などにおける介護者支援の取り組みを、全て介護保険制度に押し込むことが良いとは思っていません。(介護者支援を介護保険制度の地域支援事業に組み込むような動きになれば、声を大にして反論したいと思っていますし。)
むしろ、介護保険制度について教育現場ではどの程度理解されているのだろうか?地域包括ケアセンターの存在は知られているだろうか?教育や介護の現場で、生活困窮者自立支援制度はどの程度理解されているだろうか?そういうことが気になっています。

地域包括ケア〜重要なのは在宅を支える医療と介護〜
そういえば、今朝は、新型コロナウイルス感染症に関する報道でも、「地域包括ケア」というワードを耳にしました。感染拡大により重傷者の病床確保も厳しくなっている大阪では、「ファストドクター」と連携して、自宅で療養する方たちへ緊急往診体制を整備しているそうです。こうしたシステムは、医療や介護を在宅にシフトさせる地域包括ケアシステムを推進する上でも重要なインフラとされてきたが、コロナ禍によりその取り組みが加速したのだと。そして、地域包括ケアシステムの推進にあたって重要なのは在宅を支える医療と介護と紹介されていました。
「医療と介護」と並列で表現されてましたけど、そういう位置づけになっているだろうか?
介護給付は政策的に抑制され続けているし、2021年度の介護報酬改定では訪問介護の報酬単価がわずか1単位の引き上げにとどまるなど、事業継続は困難を極めています。
新型コロナウイルス感染症対策においても、置いてきぼりになっている在宅介護。そうした現状はどの程度認識されているだろうか?
何度か書いていますが、自主的に行うPCR検査への補助も優先的なワクチン接種も、在宅介護ワーカーは対象外。蚊帳の外です。
ここへきて日本財団が、在宅介護事業従事者も対象とする無料PCR検査を始めたのですが、私たちはこの民間の取り組みに救われました。

介護を担う人全てを支える制度
とにかく、ワンストップ相談窓口として生活困窮者自立支援の相談窓口があっても、地域包括ケアシステムを推進する地域包括支援センターがあっても、制度からこぼれてしまうニーズがあるという状況は残念でなりません。
今一度、制度が創設された理念に立ち返って、使いこなす、使える制度に変えていくという努力が求められていると思います。
介護保険制度は、働きながら介護する人も、学びながら介護する人も、子育てしながら介護する人も含めて、みんなを支えるもので、介護の社会化をめざすものなのですから。