「コロナ禍で」子育て世代が置かれた状況を知る

先頃、厚生労働省が公表した人口動態統計速報(2020年12月分)によると、2020年の出生数は、872,683 人で過去最低と報告されています。(対前年 25,917 人減少 △2.9%) *日本における外国人、外国における日本人及び 前年以前に発生した事象を含む

婚姻件数については、昨年より78,069 組減少し537,583 組となり、減少率は△12.7%で、1950年以来の減少率だそう。妊娠届出数の状況についても公表されていますが、2020年1月〜10月までの累計妊娠届出数は 727,219 件で、前年同期間の 766,316 件と比較すると5.1%の減となっています。

昨年9月に公表された「2019年人口動態統計確定数」によると、2019年の出生数は前年からマイナス5,3161人(△5.92%)の865,239 人(*日本人の国内出生数)すが、90万人を割り込んだのは統計開始以来初めてのことで、内閣府は『「86 万ショック」とも呼ぶべき状況。』と表していました。しかし、わずか1年で出生数はさらに減少し、2021年の出生数は確定数で80万人を割り込むことになるかもしれません。日本総研は、「コロナ禍によって、少子化が一般的な想定より一気に10年前倒しで進むことになりかねない状況。」とレポートしています。

少子化対策として、未婚化、晩婚化、晩産化の背景にもなっている不安定な就労状況や経済状況、また、仕事と生活の調和、家事や育児の負担感など、複合的な課題への対応が必要であることは繰り返し言われてきました。もはや手遅れだという意見もあるかもしれませんが、それでも、若い世代が安心して働き・暮らせる、子育てできる社会をづくりを諦めるわけにはいきません。

昨年は、コロナ禍の中で、子育て世代が置かれた状況を知るために、いくつかの調査にも取り組みました。
「コロナ禍における保育園利用自粛要請時の家庭状況調査」(NPOさくらんぼ、ピッピ親子サポートネット共同調査)では、ジェンダーギャップの問題として、保育所利用自粛により、子育てや家事を必然的に引き受けざるを得なかった状況や、女性の非正規労働者が直面する不安定な就労、社会的弱者へのしわ寄せ、階層化の先鋭化と言った状況が読み取れました。

この調査は、横浜国立大学大学院国際社会科学研究員の教授相馬直子さんの助言を得て、第18回社会福祉学会で報告する機会も得ました。また、子どものケア責任をめぐり可視化された論点について、地域の保育・子育て支援団体やローカルパーティと共有する活動も進めています。

来年の児童福祉法の改正もにらんだ行政やNPOの動きが活発化する中、政策提案活動も正念場を迎えています。
非営利セクターとして,当事者目線,地域目線で,制度に柔軟性を持たせる役割を果たしていきたいと思っています。