問われる地域の合意

カジノ・IRをめぐるいくつかの動きがあった。
まず、29日、北海道の鈴木知事は、道議会で誘致を断念する意向を表明した。
知事は、誘致断念の理由として、限られた期間で環境への適切な配慮を行うことは不可能、インフラ整備費用も見通せない、そして、7割近い道民がカジノ・IR誘致に不安を持っていることをあげている。懸命な判断だろう。

同日、衆参両院で、カジノ管理委員会の政府人事案が承認された。野党は揃って反対。特に防衛監察のトップを務めた元防衛省防衛監察監北村道夫氏については、防衛省の日報隠蔽問題をあげ、国民の信頼を得られないという指摘もあった。

そんな情勢の中で、カジノ誘致問題に向き合う市民の学びの場として、鳥畑与一さん(静岡大学教授)、水上裕之さん(横浜港運協会常務理事)を迎えた講演会が開催された。(主催:カジノを考えう市民フォーラム)
まずは、IR誘致を断念した北海道、先行し準備を進めてきた大阪、IR構想の検討を続けている東京都など、他都市の動向や国の動きを共有し、横浜市が言う、経済効果や観光振興、依存症対策も検証。メルコやサンズの収益構造を始めとしたIRカジノのビジネス手法を学びカジノ・IRの矛盾と限界を再確認した。
ここで、水上裕之さんは、29日の、衆院内閣委員会におけるカジノ・IRをめぐる発言も紹介された。
まず、「推進派という立場でこの役職に付いているわけではない」という赤羽国土交通大臣の発言。(本的には中立な立場 で、いいものをつくらなければいけないなという ふうな思いでやっております。)
ご存知の通り、横浜港運協会が山下ふ頭からの立ち退きには応じないとしている。このように「極めて不安定、不確かな前提で認可をするのか」と問われた赤羽大臣は「IRの整備に当たりましては、用地が一体的かつ確実に確保されているということが必要」と答弁している。

リコール運動やカジノ誘致の是非を問う住民投票条例制定運動が起こっているような不安定な情勢で
区域整備計画の申請があった場合の認可への影響についても地域における十分な合意形成、良好な関係が求められる」と答弁。

いよいよ、横浜市各区で市民説明会がスタートする。しかし、ここでは参加者の会場での発言は認められていない。赤羽国土交通大臣は「説明会で市民の皆様の理解を得る 努力をすることが大事なのではないかなというふうに思っております。」「地元の住民の 理解を得るような努力をしてほしいということは申し上げたい」とも述べている
市民理解の促進のために開催される説明会であるならば、一方的な説明に終わることはあってはならない。