ゲノム編集をめぐる現状

厚生労働省は、10月1日から、「ゲノム編集技術応用食品」について、開発者が届け出をして情報公表する制度をスタートさせています。
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今の所、「届出されたゲノム編集技術応用食品等」も、「安全性審査対象のゲノム編集技術応用食品等」についても開示されていません。開発者から提供された情報について、厚生労働省は、事前相談によって届け出る必要の有無を判断し、該当するとされた場合に届出→公表と進みます。

13日には、生活クラブ神奈川の「NON-GMO学習会」で、ゲノム編集をめぐる現状について、前田和記さん(生活クラブ連合会)のお話を聴きました。続いて、生活クラブの牛、豚、鶏の飼料用穀物「NON-GMOトウモロコシ」の契約調印に立ち会うために渡米した三浦紀子さんからも報告がありました。

丸っとしたマッスルマダイに、芽が出ても安心なジャガイモ、おとなしいマグロなどなど、ゲノム編集による開発は加速しています。開発費用は数十万〜数百万でベンチャー企業も参入可能だし、DYI化も懸念されると言います。まずは、じっくり基礎研究を積み上げて欲しいと前田さん。

ゲノム編集の規制をめぐっては、環境審議会自然環境部会における議論で「慎重に検討」とされていたのに、内閣府が主導する「バイオ戦略検討ワーキング」の議論は、アメリカの動きに合わせて一気に加速しました。
結局、ゲノム編集技術による食品と食品添加物についての届けは、開発者の自主的情報提供という扱いとなり、食品表示の義務がないことも問題です。
一方、欧州司法裁判所は、ゲノム編集技術による食品も従来のGMO規制の対象としており、またもや世界は二分される構造となっています。

ゲノム編集とは何かを理解した上で納得して食べる、あるいは食べないという選択が保障されるべきです。

1996年に遺伝子組み換え食品が市場に出たのち遺伝子組換え表示制度が実施されたのは2001年でした。つまり、後付けの規制ではありますが、NON-GMO運動の成果であったと思います。

生活クラブ連合会では、ゲノム編集の4つの問題点(食の安全性、生物多様性、種子の独占、規制ルール)を確認し、商業化への懸念を表明し、消費材の原材料に受け入れないことを基本姿勢としています。
運動はこれからも続きます。