深めたい「ソーシャルワーク」への理解と実践

 千葉県野田市で小学4年の栗原心愛さんが虐待により死亡、両親が逮捕された。
「先生、どうにかできませんか」というSOSが突き刺さる。

何に力を注ぐべきなのか。
日々子どもやその親と向き合う福祉現場に引き寄せて考えた時に,、圧倒的に不足しているのは、ソーシャルワークへの理解や実践ではないかと感じる。今回の事件でも問題となっているDVや子育ての孤立化、所得格差、貧困、また発達に課題を抱える子どもの問題など、課題が多様化、複雑化する中で、必要とされる社会資源に繋げサポートするソーシャルワークは欠かせない。

 2017年度に全国の児童相談所が虐待相談してと対応した件数は133,778件で過去最多となった。相談件数は、この10年で約13倍ほど増加している。厚生労働省は、「これら全てを児童相談所が対応することは困難。」とし、児童虐待対応における予防的支援、とりわけ身近な地域において支援を展開する施策を進めている。
すでに一般的な子育て支援家庭への支援を担う中心的機関として「子育て世代包括支援センター」を設置することを市町村の努力義務とし、中間層は「市町村子ども家庭総合支援拠点」、要介入支援層は児童相談所が、というように三層の支援体制の構築をめざしている。
 虐待相談の中には、様々なケースが混在しており、全てを児童相談所が抱えるよりも、地域で予防支援が展開できる体制を作っていく必要はあるだろう。そのためには、例えば保育・子育て支援に関わるワーカーに対して、ソーシャルワークの視点を持ってスキルアップを図る仕組みを作ることや、専門職としての保育ソーシャルワーカーの育成や、保育所などへの配置も進めるべきだろう。

私が関わるNPOでも、保育所や親子の広場、学童保育、放課後等児童デイサービス、派遣型サービス(ヘルパー)などの法人内の事業所連携はもとより、児童相談所、区の子ども家庭支援課、学校、医療機関など外部機関との連携をいかに深めていけるのか、そのためのスキルアップの必要性を強く認識している。「包括支援」を進める上で、柱とすべき制度をどう考えれば良いのかについても議論を重ねてきた。

 すでに様々な施策の中で包括支援が謳われ、多方面でワンストップ窓口が展開されている。
 2015年には生活困窮者自立支援法が施行され、あらゆる世代へのアプローチが可能となる支援制度も始まっている。しかし、例えば保育士など児童福祉に関わるケアワーカーは、生活困窮者自立支援法などという制度をほぼ知らない。対象家庭に住まいの確保や就労支援も含めたアプローチの必要性が見えていても、なかなかこの制度にたどり着けない。

 横浜市において、児童相談所からの委託を受けて実施する養育支援ヘルパー事業を受託している事業所の多くは介護保険事業所で、虐待に関わる困難ケースへの対応を躊躇する事例も多い。ヘルパー派遣後に、気になるサインをキャッチしケースカンファレンを求めてもなかなか実施されない状況もある。
自治体や福祉現場には数々の気づきがあるのではないか。

 現在、自治体では、子ども・子育て支援新制度に基づいて、2020年度〜2024年度を計画年度とする次期子ども・子育て支援事業計画を策定を進めている。あらためて、子どもの育ちを社会全体で支えるという新制度の理念に立って、ソーシャルワークの重要性に着目した議論が求められている。
 こうした動きを後押しする政策・制度の拡充に向けて、ボトムアップの議論を進めたい。