「廃炉・賠償費用」新電力にも負担問題

政府は、東京電力福島第一原発の廃炉・賠償費用として、新たに8.3兆円を国民負担とし「新電力を含むすべての利用者から公平に徴収する方策を検討する」としています。最新の試算では、廃炉・賠償費用が20兆円超必要となるとのこと。
そこで、国の「東電改革・1F(福島第1原発)問題委員会」「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」(通称:貫徹委員会)では、電力自由化後も公共料金として残る託送料金に原子力発電所の廃炉費用を上乗せし、全ての消費者に負担させようとする案が検討されてきました。
こうした動きに対して、環境団体や消費者団体からは反対の声があがっており、アンケートや署名活動、院内集会も活発に行われています。

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アンケートの結果を報告される吉田明子さん


神奈川ネットも賛同団体となっているパワーシフトキャンペーンが実施した「福島第一原発事故の事故処理・賠償費用および廃炉費用の負担に関する新電力アンケート結果」がまとめられ、27日にはその報告会に参加してきました。

報告会では、大島堅一さん(立命館大学経済学部教授)からのコメントもあり、“託送料金”がらみのさまざまな課題を確認できました。
電気料金の3,4割を占める託送料金には、配送電部門の人件費、修繕費、減価償却費や固定資産税の他に、電源開発促進税や使用済核燃料処理費用のような原子力に関する費用が含まれているそう。また、託送料金は認可制度で、国会のチェック機能が働かないという問題もあります。大島さんは、託送料金ではなく「税」で負担することで、「いくら負担しているのか」明らかにすることが必要、突き詰めれば、東京電力の法的整理を進め経営体制の整理を行うべきとも指摘されました。
一般的には、債務者が可能な限り固定費削減を行う、もちろん金融機関の融資が回収不能になることもあり、株券は紙切れにもなる。これが市場原理。東京電力についても原理原則に基づいて法的整理を進めよというのは、誰にとっても解りやすい話。なぜ東京電力について例外措置を取るのか、費用負担を求められる市民が納得しうる説明をしてほしいものです。
電力自由化によって自由な競争が起こり、そのメリットは消費者に還元されるはずだったのに、どうも、筋違いの議論になっているように思えてなりません。