お金をかけずにできること「保育士登録までのタイムラグをなくす」
政府が発表した待機児童緊急対策について「的外れだ」だという批判が聞かれます。待機児童解消に向けても保育士の確保は必要不可欠、なのに、保育士の処遇改善については言及されていない。「新たな財源を組むこともない」ないという厚労大臣に「どうやって予算ゼロで待機児童を解消させていくのか」と質す議員の発言もクローズアップされて、「保育士の処遇改善が進まないのに保育士試験の年2回化なんて意味ない」という意見も飛び交ってます。
いや、ちょっと待って下さい。
私の周りには、市の研修を受講し小規模保育の補助者として働きながら保育士資格取得をめざしているスタッフがいますが、保育士試験が年に2回となったことで資格取得の可能性もぐっと高まっています。彼女たちは、自分の子育てと仕事を両立させながら少しずつ働く時間を増やし、いよいよ資格をとってしっかり働こうという人たち。保育士の確保に頭を悩ませている事業者の立場からも、1日も早く合格をと願うところ。
そこで、何とかしてほしいのは保育士試験に合格してから保育士証の交付を受けるまでのタイムラグ。試験を2回化したことを生かすためにも見直してほしい。これは、お金をかけずに改善できることです。
例えば、2015年7月17日付けの合格通知証を受け取ったAさんの事例。
幼稚園教諭免許状を持っていたAさんは、特例制度の対象者で指定保育士養成施設で履修することで、保育士試験の筆記試験全科目免除となり保育士資格を取得できるスタッフ。
2015年
3月1日:○○大学(指定保育士養成施設)より保育士試験免除科目専修証明書が発行される
4月:保育士試験の受験申請(全科目免除で実際には受験しませんが受験手続きは必要とされてます。受験料も払います)
7月17日:保育士試験「合格通知書」交付
10月13日:保育士登録され保育士証が発行される(保育士として仕事ができる)
このように、本来は全科目免除=「受験はしない」Aさんが手続き上「受験する」ために生じる合格までの3ヶ月と、合格から登録までの3ヶ月、トータル6ヶ月のタイムラグが生じています。保育士養成校で保育士資格を取得する場合、養成施設を3月に卒業(修了)する予定の人に対して、就職に支障がないよう、卒業(修了)見込みの時点で申請を行うことができるとされています。でも、特例制度には「全科目免除になっても、受験手続きは必要」という条件付けがあり、養成施設で必要な科目を専修しても6ヶ月のタイムラグが生じるというのは、どうなんでしょうか。一般的な保育士試験において発生する合格から登録までの3ヶ月のタイムラグもできるだけ縮めてほしい。どんな事務処理になっているのでしょうか。保育士試験の実施に関するすべての事務を担うのは、都道府県の指定を受ける全国保育士養成協議会さんですが、実施主体は都道府県。神奈川県も、ぜひ、検討してほしい。
私も、横浜市の研修を修了し新年度から小規模保育の補助者として保育に関わることになりました。私はプラス1のスタッフですが、子どもや保護者、保育者とともに過ごす時間の中で、社会の課題もリアルに経験したいと思っています。
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