アフターケア相談所「ゆずりは」の取組みから

スペースナナの連続講座で、児童養護施設や自立援助ホームを退所する子どもたちのアフターケア相談所「ゆずりは」の所長、高橋亜美さんのお話を伺いました。

親や親族を頼れない、基盤を持たない子どもたちは、失敗することも立ち止まることもできなくて、時として生活が破綻してしまい、ホームレスとなったり、性産業に従事する、犯罪や自殺に追い込まれしまう、そんな厳しい現状があります。
ゆずりはでは、生活支援として、弁護士や精神科医等と連携した相談事業や、連携支援団体からの住居支援、就学・資格取得支援や、企業、ハローワークなどと連携した就労支援を行っています。ゆずりはは、東京都から年間735万円の補助を受け、児童自立生活援助事業として実施されていますが、事業費は年間約1500万円とのことで、補助の他にゆずりは基金によって支えられているそうです。
いろんな大人が大切にしてくれたという記憶を大事にしてほしい、どの親もしっかり子育てせよと強いるよりも、みんなで支えることで、親も子どもも救われるという高橋さんのお話にも共感を覚えました。高橋さんは、子どもたちを見守り続け支援する役割として社会的養護の重要性を発信され続けています。同時に、潜在化している退所者の声を拾い上げ、制度やシステムに反映していきたいと結ばれました。

神奈川県でも、来年度、 あすなろサポートステーションを開設し、 養護施設等退所後の自立支援(アフターケアー支援)事業に取組む予定です。残念ながら児童虐待件数は増加を続けており、社会的養護を 必要とする子どもたちも増加している中で、まずは、アフターケアに取組み、 養護施設の退所者が置かれている 状況を明らかにしていくことが求められます。将来的には、 さまざまな支援・相談機関とネットワークし、 相談から具体的な支援につなげる上で、ステップハウスなど居場所の確保に向けた取組みにも必要であると思います。