多文化共働・共生を学ぶ

9日は、ワーカーズ・コレクティブ全国会議in大阪に参加しました。
ワーカーズ・コレクティブは協同組合形式の社会的企業で、1982年に第一号が誕生して以来、全国に広がり福祉・食・環境・情報・運輸等の分野で事業を展開しています。ワーカーズ・コレクティブネットワークジャパン(WNJ)に関連する団体も500団体となりました。全国大会では、様々なひとが働ける職場・インクルーシブをテーマとしたセッションに参加し、地域で暮らし、自立的社会事業ではたらくための現状と課題を共有しました。
NPO法人共生型経済推進フォーラムの柏井宏之さんの基調講演では、釜ヶ崎・被差別部落、在日、障がい者運動、および、中間的就労を準市場と位置付けた社会的包摂の事業など、関西で取組まれた社会運動と社会的企業セクターを広げる活動について報告されました。 また、「就労の出口」なき支援が、発達障がい・精神障がいを増やし診断書のインフレとも言われる状況をつくりだしているのではないかという指摘もありました。

滋賀から参加された「くらしの宝島」の内田弘樹さんからは、滋賀県における「社会的事業所」制度について報告されました。くらしの宝島(リサイクルショップ)は国の障害者雇用報奨金、県と市の社会的事業所助成金を受け、最低賃金を保障され障がい者と健常者が対等な労働対価を得る働き場となっています。その実践から、生活困窮者自立支援法における中間的就労の位置づけに関する課題も出されました。
 西成・釜ヶ崎でイベントやボランティア活動をされている僧侶の川浪剛さんは、ふるさとに帰れない、家族の葬儀にも参列できなかったホームレスの人たちに、西成で法事法要を行っているそうです。生前葬の取組みも、生きること・死ぬことを一緒に考え悩み共に生きるといった活動の一環なのだと思います。川浪さんのホームレスという生き方も否定しないという立場が伝わってきました。
午後からは西成でフィールドワークでした。NPO法人ポッポの無添加パンのお店「小規模作業所ポッポ」、生活保護など地域に投資された医療費を地域に再投資するナイス薬局、くらし食堂、お惣菜屋さん、社会住宅にNPOが運営する公衆浴場「三ツ星温泉」などなど、㈱ナイスが西成で取組まれたくらし組合というオルタナティブなシステムを見せていただきました。また、政策的随意契約、総合評価入札制度など、雇用・産業・福祉の循環をめざすエルチャレンジについてもお話を伺いました。

 さまざまなまちづくり・しごとづくりの実践や、実践に裏打ちされた皆さんの言葉に圧倒された一日でした。「スタッフと訓練生」というタテ型の関係から「共に働く」というヨコ型へ、「with」から「all」へ、支援と被支援を超えて「支縁」といったお話を伺いました。
そいった視点で見れば、生活困窮者自立支援事法における中間的就労の位置づけは十分とは言えません。だからこそ、各地で重ねられている社会を変える実践を生かし、社会連帯を広げるとともに、その実践を制度化する活動に取り組んでいきたいという思いを新たにしました。