常任委員会報告 労働行政の強化に向けて

近年、非正規労働者が増加し、労働組合に加入しない労働者も増加しています。県の労働委員会が扱う事件にもこういった社会情勢が映し出されており、常任委員会では、あらためて、その実態を確認し、労働行政の機能強化を求めました。

労働委員会は、労働争議の調整(あっせん)と不当労働行為の審査・判定という2つの役割を担っています。過去5年の平均年間取り扱い件数は、あっせんが30,6件、不当労働行為の審査が58,0件となっています。
昨今、不当労働行為の申立て件数のうち、中小企業を中心に雇用形態や業種を問わない個人で加盟できる労働組合(合同労組)からの申請・申立て件数が増加しており、全ての申請・申立てに占める割合が過去5年間の平均で68,7%、さらに今年度は75%となっています。

不当労働行為事件の処理における、終結事由別(命令、決定、若い、取り下げ)の平均処理日数は、333日ですが、命令に関する処理日数については、620日と目標とする処理日数の1年6ヶ月を大きく上回っています。
勤続を希望している方、あるいは解雇、退職された方にとって、審理期間が長引くことは精神面のみならず金銭面での負担も大きいと思います。まずは、迅速に審理に着手することや、単純な団体交渉拒否事件など、明確な不当労働行為なとについては、1年6ヶ月という目標とは別に、早期終結に向けた目標期間を定めることも検討されるべきと思います。

 質疑では、社会情勢の変化を踏まえ、多様性に配慮した委員の登用を検討すること、審理期間の短縮に向けて運用面を含めた改善を行う事を求めました。
事務局からは、昨年の10月の法改正により「審問を経ない命令発出」も可能となっており対応を検討したいとの答弁がありました。また、運用面においても事務処理のICT化を進めるとの答弁がありました。今後も、事件の早期解決、労働行政の強化に向けて、一層の取組みを期待しています。

 *労働委員会は、労働者の団結権の擁護及び労働関係の公正な調整を図るため、労働組合法に基づいて国及び都道府県に設置された専門的な行政機関です。主な仕事として、労働争議の調整を行うこと(調整機能)と不当労働行為の審査・判定を行うこと(準司法的機能)の二つがあり、そのほかにも労働争議の実情の調査、労働組合の資格審査に関することなの仕事をしています。神奈川県労働委員会は、公益委員7名、労働者委員7名、使用者委員7名の三者同数の委員で構成されています。