神奈川県緊急財政対策案から検証「二重行政」〜常任委員会報告〜

今日の常任委員会では、「神奈川県緊急財政対策案」について、特に、広域自治体である県と政令市、また、それぞれが財政的に関与する団体も含め似通った事業を担うことについて、検討課題として指摘しました。昨今、地方主権改革や大都市制度の議論も進んでいますが、県有施設のあり方や補助金の見直しにあたっても、いわゆる二重行政の弊害とは具体的には何なのかといったことが明らかにされていく機会とすべきですし、その必要があると考えます。

具体的に取り上げたのは「神奈川県信用保証協会補助金」 です。 信用保証協会は、全国的には都道府県を単位とし設置されていますが、神奈川県においては、横浜市、川崎市にも信用保証協会があります。 横浜市中区には、県、横浜市、それぞれの保証協会の窓口もあり、債権回収については、県の協会も横浜市の協会も川崎市の協会も同一の債権回収会社(サービサー)に委託をしています。 大阪では、府市統合本部の決定を受け、「合併協議会」も設置されより効率的な運営をめざし、大阪府信用保証協会と大阪市信用保証協会の合併に向けて具体的な検討が進められているようです。県の担当課は、 県内に3つの協会が存在することで、リスクが分散されるといったメリットをあげていますが、政策的資金の保証を持続的に行うためにも、運営の効率化を図る意義や工夫の余地もあるのではないかと思います。

同様に、中小企業支援、新産業の育成、ものづくり支援と言った視点でみても、県、横浜市、川崎市、さらに、県の外郭団体である神奈川産業振興センターや、横浜市の外郭団体であるIDEC 川崎市の外郭団体のKBICが似かよった事業を行っています。これらの組織が持っている支援機能を集約化することで、支援を後退させずに業務の効率化を図るということも考えられないでしょうか。

今回の対策案は、緊急財政対策調査会の意見を受け、 県としての基本的な考え方や、見直しの視点を初めて提示した言わばファーストステップですが、羅列的に施設や補助金を並べられても、廃止の妥当性、あるいは事業の必要性などを判断することはできません。本格的な見直し作業はこれから始まります。今後も議会、県民に対して、また市町村や各団体との関係においても、合意のプロセスを大事にし、公開度の高い取組を期待します。