成年後見制度は、認知症、精神障害などにより判断能力が十分でない方が契約上の不利益などを被らないよう、法律面、生活面での支援を行う人=後見人を付けてもらう制度で、2000年に介護保険制度とともに導入されました。
高齢化や長寿化による独居高齢者の増加や家族形態やコミュニティの変化、高齢者や障害者の人権侵害も健在化するなか、後見人を必要とする人は600万人とも推計されています。しかし、現在制度を利用している人は30万人と活用が進んでいません。また、後見人の8割が法定後見、65%は親族後見人であるとのことです。
福祉クラブ生協は、「任意後見制度」に取組んでいますが、希望者には、入院、入所、借家の契約などに必要になる身元保証支援や、将来お亡くなりになった際の葬儀、自宅整理などの死後事務支援など、成年後見制度には無い独自のサポートも行っています。家事支援を始め様々な福祉事業に取組んで来た法人の実践が生かされています。
昨年度は、厚生労働省は社会福祉協議会を使った「市民後見人養成」のモデル事業を実施しています。今年度は、横浜市も市内3区で区社会協議会によるモデル事業をスタートさせます。地域の情報やネットワークを生かす視点から、市民後見人に期待される面もありますが、先の長いサポートであり、一般市民にとっては精神的にもハードルの高い仕事でもあり、法人としてチームで事業に組む意義もうかがいました。
成年後見制度や日常生活自立支援事業など、高齢者の権利擁護を図る役割を担う地域包括支援センターをしっかりと機能させることや、後見人養成機関への支援も検討されるべきとの提言もいただきました。
今回の学習会は、市民後見人養成講座に参加された方からお問い合わせをいただき、制度を取り巻く課題や市民後見人の役割を学ぶ機会として企画しましたが、福祉事業に取組む方たちにも参加をいただき、ソーシャルサポートのあり方を考える機会ともなりました。