「開国博 Y150」問題 私の反対討論

本日の本会議で、「開国博 Y150」の赤字穴埋めのため、新たに横浜開港150周年協会に12億6600万円の市費を補助金として交付する議案について、以下反対討論を行いました.

150周年協会に補助しようとする12億円6600万円は、事務・事業に対して補助するものではなく、協会の債務整理に充てられるものです。補助金等は、特定の事務、事業に対し、公共的見地から公益性があると認め、その事務、事業の実施に資するために交付されるものであり、このたびの150周年協会への補助金の交付については、本来、補助を行うべき事案ではありません。

市長は、横浜市が債務を負う根拠として、調停委員会の勧告を持って正当性を主張されていますが、特定調停案受諾議案には多くの問題点があります。

特定調停は、「債務者の再生に資すること」を目的とするものです。しかしながら、財団法人横浜開港150周年協会は、債務の清算をする以外に存在意義のない法人です。

また、市が受け取った横浜地方裁判所からの「呼出状」と称された通知には、「下記調停事件につき、調停委員会は、横浜市が利害関係人として参加する事が相当であると判断しましたので、期日に出席くださいますようお願いします」とあります。この通知には、処分性の表現が無いうえ、民事調停規則で定められている不出頭の場合の「過料」も記載されていません。つまり、単なる出席のお願いを強制参加のごとく吹聴され、市長もそれを鵜呑みにされたのだと思います。

さらに、特定調停に利害関係人として参加するにあたって、本市指定代理人を選任していますが、代理人選任手続きにおいても瑕疵があります。「横浜市事務決裁規程」に基づけば、「代理人の指定に関すること」は副市長の専決権限となっていますが、このたびの指定代理人の決定にあたっての起案書を見る限り、権限者である副市長の決裁を受けておりません。つまり、本調停行為は、代理権を有しない者が行なっています。

調停において、150周年協会は、博報堂JVに対し18億7千900万円の債務減額を要求しています。請負った仕事をきちんとやっていないというのがその理由でした。ところが、横浜市の調停参加を契機に、この150周年協会の博報堂JVに対する債務減額の要求が封じられました。
本来ならば、博報堂JVに対する委託内容は、実際に行われた事業内容と合致していたのか、博報堂JVは、きちんと仕事をしたのかを具体的に明らかにすべきです。そうした検証も無く、市長は、特定調停の場において、150周年協会が博報堂JVに対して19億円近い債務の減額要求をしていた事実を何故無視したのか、にわかに、市民の税金から、博報堂JVの残金請求を認め、補助金を交付するとは余りに理不尽です。

イベントが終わる前後に、当時の市長、担当副市長が相次いで辞任、市会で「事情を聞きたい」と招致しても、これを拒否。150周年協会と博報堂JVの民・民契約で進められたイベントだからという理由で、議会に対して契約書や収支に関わる証憑も公開されていません。

このような状況で、債務を負担する理由として市長は社会的・道義的責任を強調されてきました。しかし、「法律と道徳」は峻別されなければなりません。行政の行為は法律に基づき行なわれなければならないのであって、社会的・道義的責任で債務を負担しようとすれば際限がありません。民間企業であれば、社長が、法的に責任の無い事案に13億円も支出すことを了承すれば、「背任」が成立して社長は解任されるでしょう。民間企業での経験をお持ちの市長ならお判りのはずです。
市長が、あえて、社会的・道義的責任を言われるのであれば、誰のどのような行為が責任を発生させたのかを明らかにしなければなりません。当事者の意思に基づいた自律的な解決手段であるという調停の性格上、「裁判所の勧告による」という以上の調停案に合意する合理的な理由が必要です。

無所属クラブからは、予算議案に対し、Y150の赤字補填の補助金を除いた予算案を修正動議として提出させていただいていますが、私たちは、自戒をもって、その責任の所在を明確にし、税金支出を最小限に抑える方法を検討しなければなりません。
市長は、「責任を特定するのは困難。職員などに負担を求めることは適切ではない」ともおっしゃっていますが、「責任を特定するのが困難」である状況で、なぜ市民に負担を求めるのですか。そんなことはできないこということを本当はご承知だろうと思います。
はまずは、横浜市、ならびに議会が結果責任を負わなければならないのです。すでに、無所属クラブから申し入れをさせていただいていますが、議員報酬と市幹部職員の給与カットを、なぜ、やらないんですか。様々な要因があったにせよ、赤字に対して安易に市費を投入することは許されるものではありません。

一昨日、自民党、民主党の横浜市会議員からメールをいただきました。そこに書かれていたのは、「議員の仕事とは何か」を問うメッセージでした。「議決権の行使こそが議員の仕事であると徹底的にこだわれば、もっ と住民にとって意義ある自治システムに変わっていく」と書かれていました。おっしゃる通りです。「賛成せざるをえないから賛成する」よりも、「本当に正しい決定をする」ことが 大事ですと書かれていました。これまたおっしゃる通りです。メッセージの最後は「地方議員の皆様、あなたにとって議員の仕事は何ですか?」と結ばれていました。まさに今、議会の存在が問われています。
市民に選ばれた一人ひとりの議員が、本当に正しい決定を求められているのです。正しい決定のために議決権を行使してください。
市会議員の皆様、市第82号議案 特定調停(債務弁済協定)申立事件についての調停 ならびに市第119号議案 平成22年度横浜市一般会計補正予算については反対をいただきたいと思います。これが、市民の負担に応えることです。
議員の皆さんの賛同を求め私の反対討論を終わります。