地域で繋がる食と農

古田睦美さんを迎えて(長野大学准教授)

マーケットに、コピー食品、添加物、保存料が溢れている今、食をめぐる問題については、いかに新たなマーケットを生み出し選択肢を拡げていくのか、知恵比べの時代だなと実感します。食事の改善によるさまざまな「効果」も言われ始めている中、古田先生からは、具体的な経験を通した政策としての地産地消のいくつかの側面を伺いました。

信州では産直サミットも開催されるなど、直産所の組合の活発な活動があり、海外からも多くの見学者が訪れているそうです。直販所の他にも、食育と食文化の維持を柱に学校や福祉施設の給食にも独特の取組みが進められています。
例えば、国会の教育基本法特別委員会の質疑でも取り上げられた、真田町の5食米飯の地産地消給食。完全米飯給食を実施した効果として、不登校や暴力事件が減少し、学力も向上したことが挙げられています。完全米飯給食の実施にあたっては、以外にも、PTAと現場の教師からは反対の声も上がったそうです。その理由は、給食費の値上げの心配や、子どもたちはパンが好き(実は、若い先生もパンが好き)だからという理由。結果的には、事業コストを明らかにした詳細なシミュレーションを経て、いずれの心配も実践の中で解決されたようです。

その他にも、食と農のネットワーク事業としてのコミュニティレストラン「コラボ食堂」(上田市/地域の素材で作った料理を提供。誰でもシェフとして登録可能。)の取組みなど、消費者運動のその先を見据えた活動の事例も伺いました。いずれの取組みも、地域=食べ物が腐らない範囲で展開されており、都市に暮らしながら「売ってやる、買ってやる」では、到底かなわない地域内フェアトレードの強さ見せつけられました。
日頃、私も、子どもたちの食に関する仕事をしていますが、朝ご飯はチョコレート、夕飯はマック、旬?わかりませんというお母さんたちに出会います。もっとできることがあるはず。私も、横浜の食の現場から、地産地消を具体化し、地域連携でできることに取り組んでいきたいと思います。