横断的に取り組みたい「DV支援」

2007年にDV法が改正され、DV施策の「基本計画の策定」が努力義務とされました。横浜市でも、基本計画策定の基礎資料とするため、配偶者等からの暴力(DV)に関するアンケート調査、被害者実態調査(面接調査)が実施されています。14日には、横浜市市民活力推進局主催の講演会が開催され、調査結果をもとに、今後のDV被害者の支援のあり方について意見交換が行なわれました。

今回の調査は、市民活力推進局とこども青少年局が実施していますが、DVの問題を考える時、子どもへの支援のあり方は需要な問題で、横断的に取り組むべき課題です。たとえ、DV行為が直接子どもに向けられていないとしても、ダメージは大きいはずです。アンケート調査では、被害者の子どものうち27.1%が、親が暴力にあたる行為を受けていることを知っていたとの回答がありました。また、面接による被害者実態調査では、子どものいる協力者(DV経験を持つ女性で自発的な協力を申し出た人達)23人のうち、21人が、夫は子どもに対して虐待的な言動をとっている(いた)と答えています。

市の担当者は、配偶者やパートナーからの暴力をなくすために、学校などで子どもたちに対して教育を行う必要があり、そのためにスクールカウンセラーも活用すべきとのことでしたが、であれば、カウンセラーの専門性を高める研修も行なわれるべきですし、親子関係が見える保育所との連携も重要です。

講演会では、参加者でDV被害の経験のある当事者の方から、何度も警察に110番通報したり相談を行なったが、DVに対する認識が低く充分な対応がなされなかった、どうしていいかわからなかったという事例も報告されました。警察官のDV教育も必要ですし、何よりも、必要な人に情報を届ける取り組みが求められます。

さらに、DV被害の背景にある経済的な問題、特に、母子家庭の貧困問題は深刻です。母子家庭などの一人親世帯の相対的貧困率が54・3%だったことが明らかになりましたが、この数字は、先進国の中で最悪の水準です。事業仕分けに注目が集まっていますが、貧困者対策のような問題は、なかなか費用対効果が明らかになりにくい事業だと思います。それこそ「政治主導」で思い切った対策が必要です。