自治体の創意工夫とナショナルミニマム

地方分権改革推進委員会の第3次勧告

先頃出された、地方分権改革推進委員会の第3次勧告で、自治体の仕事を縛ってきた「義務付け・枠付け」の廃止・縮小の方向が示され、新政権がどのような判断を示すのか、注目が集まっています。
勧告では、保育所の設置基準についても、国が「義務づけ」するのではなく、設置者である市町村自ら基準を設けることが盛り込ました。

しかし、長時間保育所で過ごす子どもたちには、維持すべき環境があるはずです。先進諸国の保育所面積基準および人員配置基準に比べ、日本の基準は決して高いとは言えません。その基準を補うために、すでに、自治体が独自に基準の上乗せを行っている実態があります。
規制緩和だけが分権改革ではありませんし、規制緩和により新規参入を促し、保育所設置を進め、待機児童を減らすという発想は、すでに時代後れなのではないでしょうか。

自治体によっては、認可外保育施設への助成も行なっていますし、多様な子育て支援事業に取り組んでいます。地方の自主性・創意工夫を支援することを目的に、次世代育成支援対策交付金(ソフト交付金)が導入されたことは一歩前進ですが、国が、総花的に子育て支援事業のメニューを用意したり、市町村の事業評価に過度に干渉する事なく、あくまでも、自治体の創意工夫を活かす取り組みが必要です。

さらに、今後は、保育所の整備、運営のためのコストだけでなく、保育の質の維持・向上のためにどれだけコストをかけるのかも、議論されるべきです。