産業廃棄物処理における公共関与のあり方を考える

東京臨海リサイクルパークを視察

かながわクリーンセンタープロジェクトメンバーで、産業廃棄物と医療廃棄物の中間処理施設「東京臨海リサイクルパーク株式会社(TRP)」(大田区)を視察しました。TRPは、東京都のスーパーエコタウン事業に選定された民間事業者です。43億円で都有地を購入のうえ、施設整備費として経済産業省の補助金397億円を活用していますが、運営にあたっては、公的補助は受けず自立した運営を行なっています。

TRPでは、産業廃棄物は都内発生量(産業廃棄物の廃プラスチック)の約1/3に相当する550t/日を、また、感染性医療廃棄物は都内発生量の約2/3に相当する50t/日の処理能力を有しています。
産業廃棄物契約者数は約200社、医療廃棄物契約者数は約1700病院と一定のボリュームはありますが、東京臨海部、京浜臨海部での廃棄物処理・リサイクル施設の整備が進んだ上、昨今の経済情勢によって、TRPへの搬入量は減少しており、現在、産業廃棄物は300t/日、医療廃棄物30t/日にとどまっています。
独自のディスカウント制など民間ならではの柔軟な料金体系も設定し、搬入量の確保に向けて、営業にも力を入れているそうです。(業界では、年度契約が基本であり、この次期が勝負のようです!)しかし、今後も横浜、横須賀と複数の民間プラントの建設・稼働が予定されており、搬入量の確保は容易ではないと厳しい予測をされていました。TRPビルの展望エリアからは東京湾の景色が臨めます。他社プラントも、結構、並んでいます。この業界の競争の激しさを見たように思います。

今日の朝日新聞には、県、横浜、川崎が関与する産業廃棄物処理施設「かながわクリーンセンター」(KHJ運営)の経営悪化に伴い、県、横浜、川崎がKHJに貸し付けている計約24億円の返済を先送りすることが報道されていました。施設建設に132億円の県税・市税が投入され、今後も、毎年負担金という名目の補助金を3自治体が1億3800万円づつ拠出するという経営改善計画も出されていますが、かながわクリーンセンターに未来はあるのでしょうか…。事実に基づいた損失計算を行い、その結果を公表することともに、これ以上損失を拡大させることなく1日も早い操業停止を決断することを求めていきます。

ところで、TRPの目の前は、東京都の最終処分場が広がっています、中・小事業所の廃棄物のみ搬入が許されているそうで、TRPの処理灰はここには搬入できないそうで、他県に運ばれます。循環型社会とは難しいものです。