財政健全化法から分権を考える

地方自治総合研究所の菅原敏夫さんを迎え、財政学習会を開催しました。学習会では、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」(財政健全化法)の成立の経過や制度の課題を抽出するとともに、あらためて国が定めた新たな財政指標と基準や自治体の標準財政規模(税収+交付税+譲与税/横浜市は約7500億円)にもとづき、神奈川県,横浜市、川崎市の財政状況を点検してみました。その結果、ご存知のり、横浜市の実質公債費比率は26.2%となり、早期健全化基準を超えています。夕張市の財政破綻をきっかけに急ピッチで法制化が進められた財政健全化法。国会でも、「画一的な指標・基準とせず、地方六団体の意見が十分反映されるようにすること」という附帯決議が行われていますし、具体的な基準も「政令で定める数値」とされており、いかにも、官僚のコントロールが可能な法制度となっているようです。
「早期健全化基準」のラインを超えた自治体は、健全化計画を策定し、政府に報告をし、承認を得なければなりません。参加者からも、自治体への国の関与が強化される一方で、国政府の財政健全化の方策は論じられていないのでは?という問題提起もありました。夕張の失敗から学ぶべき事は、おまかせ護送船団方式から、市民がコントロール=自治し、責任を負うスキームへとつくりかえることだったはずです。
また、菅原さんからは、かつて、この法案審議に際して、参考人として招致された前鳥取県知事の片山善博が、総務委員会で「国会は地方分権なんてもう言わない方がいいと思います。ということで、よろしくお願いします。」と陳述を結んだというエピソードも紹介されました。(確かに。会議録に残ってました。その発言の後、委員長の「速記を止めてください。」の発言で〔速記中止〕となっています。混乱したようだ)
財政健全化法の中には、「議会」という言葉が15回、「監査」は24回も登場します。議会と監査には重点を置くということです。ところが、今年6月、地方制度調査会からは、「議選の監査委員」制度の廃止が提案されています。議会選出監査委員はいらないということのようですが、議会不要論にもつながりかねない危うさがあります。監査や議会をいかに機能させるか、これは、私たちが日々取り組むテーマであり、改革はボトムアップで進めるという基本姿勢を忘れず努力を続ける必要性も確認できました。