多重債務問題の早期解決にむけて

9月5日、金融庁と法務省は、自民党の小委員会で、貸金業制度及び出資法の上限金利の見直し案を明らかにしました。
金融庁は、昨年3月から、貸金業制度に関する懇談会を設置し、公開の場で議論を進めてきました。懇談会は、深刻な多重債務問題解決への司法判決を踏まえ、消費者保護のためグレーゾーンを撤廃するという趣旨からスタートしたもので、懇談会を受け、自民党が7月にまとめた「基本的な考え方」でもその趣旨が了承されていました。
しかし、金融庁から示された見直し案は、少額・短期の特例や経過措置によるグレーゾン金利の存続を容認するものです。この逆転劇は、懇談会での1年余にわたる議論を踏みにじみるものであり、政・官・業の癒着構造を露呈するものです。
また、今回の貸金業制度の見直しにあたっては、出資法の上限金利の引き下げに注目が集っていましたが、その陰で、出資法引き下げと引きかえに、利息制限法の金利区分を変更することで、事実上の利息法の金利引き上げがもくろまれています。市場金利に照らしても、今、利息制限法の利息を引き上げる理由は見当たりません。
1983年、クレ・サラ問題が社会問題化し、貸金業規制法が制定された時には、書面要件と引きかえに高金利を認め、43条「見なし弁済」の抜け道もつくられました。23年を経過し、再び、当時に酷似したごまかしが行われようとしています。
しかし、一方で、このような業界利権を重視する動きに対して、与党良識派の反発や社会的批判も強く、わずか数日間で、修正案が提示されるという情勢をつくりだしています。
今後、さらに、市民世論を高めることが重要であり、多重債務問題の早期解決とセーフティネットの構築にむけて運動を進めます。