結ぶべきは社会的な人間関係

学校と警察との連携強化を考える

 フォーラムでは、学校と警察との連携強化について、子どもの人権という視点からも検証し、教育現場や地域でなすべき事を考えました。
県教委と県警の協定書について、弁護士の山崎健一さんから、「情報提供については、本来、目的が明確であり手段が必要最小限でなければならない」といった個人情報保護上の問題点、また、協定の締結によって、生徒と教師の信頼関係を損なう危険性や、教育機能の低下、ひいては、子どもの居場所を失わせて立ち直りを困難にさせてしまうといった教育現場に与える影響が指摘されました。確かに、協定の目的は曖昧で、対象事案の範囲も非常に広範囲かつ不明解なものです。青少年保護育成条例同様に、これでは規制の範囲や規制によってどの程度目的が達成されたかについて検証する事も困難です。
竹村雅夫さんは、まず、教育現場での問題をマスコミがセンセーショナルに取り上げることの弊害を指摘され、20数年前に学校が荒れた時代に、ご自信が経験された問題を抱えた少年との年月を振り返られました。少年は、経済的要因も含め、いくつもの原因が複雑に絡み合い悩みの中ありました。その少年の問題行動だけをとりあげるのではなく、その根っこの部分に向き合い、「失敗や過ちを起こしながらも、それを克服し人格を形成させていく場」として、教育の実践がありました。その上で、警察を使うということもある、しかし、それは、イレギュラー「例外」であり基本ではないとお話くださいました。
杉原五雄さんは、「学校の門が閉じられ、防犯カメラが設置され、学校は砦化していく。本来、地域に学校を開くことで学校は守られる」といったお話がありました。
私も、パネラーとして、児童相談所や子どもに関わるNPO・NGOへのヒアリング調査から、子どもたちが幼い時から経済活動の対象とされてしまう状況や、虐待の連鎖、不登校支援の現場の声など報告しました。
今春、青葉区で小規模・多機能の福祉拠点が開設されます。私もそこに参加し、社会的な人間関係を結びながら見守る地域社会をつくるチャレンジを続けたいと思います。