カリヨン子どもセンターの活動から見えるもの

フォーラム報告その2

 カリヨン子どもセンターの理事、前田信一さんから、カリヨンの活動を通して見えた課題について、お話をうかがいました。
「カリヨン子どもの家」に保護された子どもの半数は、施設での生活を経験した子どもたちだそうです。彼らを支える家庭が、家庭として機能せず、支えてくれる人がいない子どもたちです。現在の制度では、18歳になると同時に、児童養護施設を出て生活しなければなりません。高校に進学しない場合は、15歳で、施設を出て、一人で生活することを強いられます。 東京都では、児童養護施設で暮らす子どもの7〜8割が被虐待という状況であり、一時保護所をはじめ子どものための施設はパンク状態とのことです。
横浜市も同様に、一時保護施設は恒常的に定員を超化し、受け入れ先となる施設も不足しているため、保護期間も長期化しています。中には、1年以上に渡って、一時保護所で生活する子どももいます。児童相談所も、運営指針(人口50万人あたりに1か所設置)にほど遠い現状で横浜市には3か所しかありません。現場の職員の方からは、虐待について、世代間連鎖や、加害少年の被害者性など、多くの課題があることもうかがいました。
大規模施設の中で「その子らしい生活を保障する」ことの限界も見えてきた中、里親やグループホームの拡充も言われています。しかし、市内のファミリーグループホームは11ヶ所、虐待ケアを行う専門里親は1人、自立援助ホームも2か所にとどまっています。
三位一体の改革により、DV・児童虐待関連の補助金を廃止し、一般財源化するという動きもありますが、虐待やDV被害者は、生命の危機にさらされていながら、最も声をあげられない状況にあります。今後、施策が後退することなく展開されるのか、国や自治体の果たす役割は質していく必要があります。
◆「カリヨン子どもの家」は、様々な理由で家庭や施設にいられなくなった子どもたち、法的な支援と福祉的な支援の両方を必要としている、一時も待つことのできない子どものためのシェルターです。