当事者がネットワークし社会を変えていく 若年認知症グループの活動から
21日、第13期市民社会チャレンジ基金助成団体の若年認知症グループどんどんの代表、中川和子さんにお会いしました。どんどんは、働き盛りに職場から排除され、自立支援法における就労支援の枠組からも外れている若年認知症の当事者・家族・サポーターが参加するグループ。定例会、家族会、学習会の開催のほか、ワーク活動として、当事者の「働く意欲」に応え、Tシャツや一筆箋など自主製作品をつくり、その売上げは活動に生かされています。以前、どんどんのTシャツをアピールされていた皆さんの姿は、強く印象に残っています。
10年ぶりにお会いした中川さんからは、どんどんの活動や、川崎市認知症ネットワークの参加団体として受託している相談事業、当事者と共に進める政策提案活動など幅広い活動を伺いました。
2004年京都で開催された国際会議(国際アルツハイマー病協会)で越智俊二さん(当時57歳)が、認知症当事者の思いを語った事がターニングポイントになり、国内外で認知症への認識が変わってきたと言います。
「できることはある」という思いや、これからの人のためにと、率先して発言する動きや、当事者・本人を中心にしたケアのあり方が広がっていくことは、どんどんがめざしてこられたところでもあります
毎年、当事者が厚生労働省との意見交換にも参加し、生活困窮者支援法に若年認知症を対象に含めることや、障害者雇用率に若年認知症本人を算入することなどの提案が行われています。自治体として、実態把握を進めようとする動きもあり、神奈川県は、2011年度に若年認知症の実態調査を実施しています。
〜神奈川県「若年性認知症について」より以下抜粋〜
平成21年3月に厚生労働省が発表した調査では、18から64歳人口における人口10万人当たりの若年性認知症者数は、47.6人であり、男性は57.8人、女性36.7人と男性が多く、全国における若年性認知症者数は、3.78万人と推計されました。この調査結果によれば、平成23年1月末時点で、神奈川県内の若年性認知症者数は2,674人と推計されます。
神奈川県における実態調査結果から見えてきた課題
・県が実施した実態調査では、推定人数の3割弱の把握にとどまる状況にあったことや、受診しても、うつ病と診断されたり、確定診断までに時間がかかったり、確定診断後も、本人の疾病受容が困難である等、継続した受診が難しく、本人家族を含めた受診援助や心理的支援が必要である。~(引用終わり)
中川さんも、県の調査については、高齢化率と発症率(厚労省)に照らすと、まだ相当数の若年性認知症者がいるのではないか、基礎自治体で調査を実施すべきと指摘されています。
今年度から、各都道府県に一人ずつ「若年性認知症支援コーディネーター」が設置されており、東京都は若年性認知症総合支援センターを開設しています。その取り組みは緒に就いたばかり。
改めて、自治体の取り組みを把握するとともに、日々の福祉現場でも当事者の視点が生かされるよう努力したいと思います。