「改正労働者派遣法」施行〜誰のための法改正か〜
9月11日参議院で可決・成立した改正労働者派遣法が9月30日に施行されました。
その間に行われたパブリックコメントはわずか3日間で締め切られており異例のスピードで施行日を迎えました。パブリックコメントが実施された9月15日〜17日と言えば
ちょうど安保法制の国会審議が大詰めを迎えていた頃。
改正法の施行を急いだ背景には、10月1日施行とされていた「労働契約申込みみなし制度」(違法派遣に対する制裁制度)を回避したいという経済界の意向があったと言われていますが、こうなると一体誰のための法改正なのかとの思いも拭えません。126万人の派遣労働者当事者にこの制度改正がどの程度周知されているのでしょうか。
改正法について、政府与党は、派遣会社への規制強化や派遣労働者の技能向上のための支援等を行うことで、派遣労働者の雇用を安定させ正社員化を進めるものとその意義を強調しています。しかし、野党は、人を替えれば派遣労働者を使い続けられるようになる改正は、不安定な派遣労働を広げ低賃金の人が増えるとし、その議論は平行線でした。実際、塩崎厚生労働大臣が繰り返し答弁していた、「正社員を希望する派遣労働者には正社員への道を開く」というようなことは法律のどこにも書かれていないのですから。
また、「多様な働き方の実現」を言うのであれば、同時に同一価値労働同一賃金を進めていく必要がありますが、野党案を骨抜きにした形で成立した「同一労働同一賃金推進法」には、残念ながら期待はできません。
今後の動向に注視をしながら、当面は、私たちができることにチャレンジしたいと思います。地域に必要な仕事を創り出しながら協同労働の現場で人間らしい働き方ディーセント・ワークを実現することをめざします。